USB フロッピーディスクドライブで FD をフォーマットする

フロッピーディスクを整理しようと Amazon で 1680 円だった USB フロッピーディスクドライブを買いました。一応 Windows 9x・古い MacOS 向けのインストール CD が付属していましたが、Linux Mint は挿すだけで認識しました。便利。

nemo にアイコンが表示され、そこからクリックや右クリックメニューを使ってマウントをすることができるけど、右クリックメニューの「フォーマット」は USB フラッシュメモリー向けのダイアログが表示されるので使えません。

ということでマニュアルでフォーマットします。

  1. dmesg でフロッピーディスクドライブのデバイスファイルを確認する。本例では、/def/sdf とする。
  2. root で fdformat /dev/sdf すると Invalid argument と怒られるので、mtools の mformat を使う。/etc/mtools.conf を次のように編集。

    - drive a: file="/dev/fd0" exclusive
    + drive a: file="/dev/sdf" exclusive        
    
  3. mformat a: && mkfs -t msdos -I /dev/sdf する。

  4. マウントしてみて読み書きできたら成功。

もちろん、マウント済みの場合は一旦アンマウントしてから実行します。

手元の FD は論理的に壊れているものはフォーマット。物理的に壊れているものは処分しました。 ちゃんと読み書きできたものの中に 1996年の Mac 版 NetScape インストーラの FD などがありました。

FD ドライブを使うの自体、10年ぶりくらいです。読み書きの音が懐しいですね。

Linux で 64GB SDXC カードを使う

今使っているラップトップは、SONY VAIO Z の BTO で SSD ストレージなのですが、予算をケチって 128 GB にしています。というのも、ストレージはどんどん安くなっていくので「必要になったら後から足せばいいか」と考えていたからです。

SD カードも SDHC カード、SDXC カードと進化しつつもどんどん安くなっていて、64 GB の SDXC カードが3200円〜3800円程度で買えるようになってきました。

そろそろ容量を確保しておきたくなったので、Amazon で 64 GB SDXC カードを購入。 Linux で SDXC カードを使う際の注意事項が、調べてみてもあまり情報がなかったので購入時は少し不安でした。

参考までにいくつかの側面からポイントを書いておきます。(もちろん保証はできませんのであしからず…)

物理的な問題

SDHC カードを想定していたハードウェアで使えるか?ということです。/dev/mmc* (本体に搭載されたSDカードリーダー)や /dev/sd* (USB SDカードリーダー)として認識し、今のところちゃんと使えているようです。

パーティションテーブル的な問題

問題なく、普通のストレージと同じようにパーティションが切れます。GParted でも確認済み。

ファイルシステム的な問題

インターネット上の SDXC カードに関する記事は exFAT とペアで掲載されていますが、ファイルシステムを exFAT しか許していないわけではなく、何でもいいようです。普通に mkfs コマンドでファイルシステムを作れます。うちでは ext4 を使っています。もちろん、SDXC カード対応と謳ったデジカメなどの類は exFAT しか読み書きできないはずです。なお、うちの Linux Mint では、購入直後にフォーマットされていたであろう exFAT な SDXC カードをマウントできませんでした。

暗号化的な問題

cryptsetup や LUKS で魔法をかけることもできました。

# cryptsetup luksFormat /dev/mmcblk0p1 

WARNING!
========
This will overwrite data on /dev/mmcblk0p1 irrevocably.

Are you sure? (Type uppercase yes): YES
Enter passphrase: 
Verify passphrase: 
# cryptsetup luksOpen /dev/mmcblk0p1 sdxc
Enter passphrase for /dev/mmcblk0p1: 
# ls /dev/mapper/
control  sdxc
# mkfs.ext4 /dev/mapper/sdxc
# 略
# cryptsetup luksClose sdxc

SDXC カードを用いて Windows コンピュータやデジタル家電とデータをやりとりするには、Linux 側での exFAT サポートが必要になってくると思います。(「linux exfat」で検索するとたくさん情報が出てくるので可能なはずです。)しかし、単に Linux だけで完結する小さな拡張ストレージという用途では、普通に使えるようです。

Twitterの画像を一括ダウンロードするシェルスクリプト「berryjack」を書いた。

以下、スクリプトの解説が中心です。Windows で手軽に使いたい方は berryjack/win32 をダウンロードしてください。

数年前、知人より「Twitterの特定アカウントで公開されている画像ファイルを一括ダウンロードするスクリプトがないかな」と相談を受けて、Perl でNet::Twitter::Liteを使ってがりがりコーディングしました。そして、今年になってから Ruby を使う機会が増えたため、そのコードを Ruby で書き直してみました。

機能に対した差はなく、いずれも Twitter API 経由でタイムラインを取得していき、オブジェクト化されたツイートを舐めていくだけのものでしたが、画像ファイルのダウンロードに加え、発言やプロフィール情報の保存などなどをやっているうちにコードが増えてしまって、Perl で 343 行、書き直した Ruby でも 203 行と少し行数が増えてしまいました。

速度や行数に厳しい要求じゃないので、別にまあ良いのですが、Perl で書いていた頃から Twitter API がなんだか大掛かりすぎる感がありました。コンシューマキーやらアクセストークンやら、タイムラインの遡って取得していく方法や…、とタイムラインを取ってくるだけでも色々なバックエンドを知りつつ、リファレンスと睨めっこしなければなりません。

そんな時 Twitter をWWWブラウザで眺めていると、メディアの取得は JavaScript を使って非同期的に要求・表示していることに気付きました。いや、それ自体は一応前から知ってたんですが、昨今のダイナミックに動きまくる大手ウェブサービスの暗号みたいなソースを見るのにちょっと億劫になっていて、挙動と中でやっている事の予想はついていたものの、まともに調べたことがありませんでした。タイムライン取得はどのサイトを見ても Twitter API 経由が定石のようですし…。

Twitter 側が提示している正規のアクセス方法はあくまでも Twitter API 経由でのアクセスですが、使わせてようとしているわりには使いづらかったり、何かと制限がついてきたりとなかなか良いイメージがありません。 その Twitter API も大掛かりすぎて、ちょっとだけ食傷気味になっていましたので、HTTPリクエストと返ってくるJSON情報だけでなんとかなるはずだと思って、シェルスクリプトで書いてみました。

Twitter をブラウザでアクセスした際に表示される「画像 / 動画」ページは、下にスクロールしていくと、非同期的にサーバにクエリを投げて画像 URL を含む JSON データを取得しています。Firefox の 開発ツールを開いて JavaScript でクエリーを投げている URL を検知すると、

https://twitter.com/i/profiles/show/[Twitterアカウント名]/media_timeline[パラメータ]

にアクセスしていることが分かります。

ここから、まずパラメータを省略してアクセスしてみると最新のツイートから遡って20件前後のツイートを取得しているようでした。さらにこの取得したツイートのIDを用いて、さらに古いツイートを取得するためのパラメータを生成すれば良さそうです。

つまり、最初のアクセスはパラメータなし。2回目以降は、直前のアクセスで取得した情報を基に URL を生成、そこにアクセス。というパターンです。

いくつかパラメータを投げることができるみたいですが、最低限必要なパラメータはcontextual_tweet_idmax_idのようです。前者は、直前に取得した tweet ID の一番若い番号、後者はその番号をマイナス1した値みたいです。Tweet ID は全世界的に一意である整数値番号で、Perl ではMath::BigIntを使わないと扱えないくらい大きい桁数になっています。

そのことを踏まえ、適当にパターンマッチさせて書いてやると、次のような感じになりました。


初回アクセス時にはparamが空になって、最新のツイートを取得します。そこから、まずは画像ファイルの情報を列挙、その後に次のクエリーを投げるためのパラメータ検知、生成しています。最も古いツイートまで到達したりして情報が取得できなかったら抜けます。

拍子抜けしてしまうほど簡単でした。14行ておま。Perl や Ruby の Twitter API なモジュール、Gem を使ってやっていたのが虚しいくらいです。もちろん、これ以外にもいろいろな機能を実装していた上に、Unicode なツイート内容などを扱い始めるとシェルスクリプトでは都合が悪い(勝手が悪い)部分も多々存在します。

絶対的優位と言えそうな点は、media_timeline に対してクエリーを投げているので、画像ファイルのダウンロードが目的であれば不必要なその他のツイートは取得せずに、ピンポイントでダウンロードできる点じゃないでしょうか。(そっちの方が Twitter のサーバに対しても優しいかも。1万ツイートしていて画像ファイルが100個しかないアカウントに対して全ツイートを取得するのは非効率的すぎますし、そもそも API 制限で全ては取得できませんし…。Twitter API もメディアファイルがついているものだけを取得できないのかなぁ)

ということで、いくつかオプションを追加して叩けば落ちてくるシェルスクリプト「berryjack」を GitHub に置いておきました。何百番煎じかもしれませんが、興味がある方は見てみてください。

ちなみに、一度だけダウンロードしたい方は、次のようなソフトもあります。

Open CASCADE 6.7.1 をビルドする

開発環境の準備

g++(GNUコンパイラコレクションのC++コンパイラ一式)は既にインストール済みであることを前提としています。

aptitude install automake libtool

nginx を動かして小さなウェブサイトをホスティングしているくらいのうちの Debian wheezy では、上記の二つだけ入れれば良いみたいでした。

Open CASCADE の準備

まず、作業ディレクトリを/tmp以下に作って移動します。

cd /tmp
mkdir occ
cd occ

作業ディレクトリは権限があればどこでも構いません。以後、このページでは/tmp/occを作業ディレクトリのルートにします。適宜読み替えてください。

OCCT の開発版は、開発サイトに登録して、印刷した契約書にサインして、スキャンした PDF を返送しなければ手に入りません。開発版は git で clone すれば良いですが、大抵の場合は正式版で十分ですので、公式サイトから入手することになります。OCCT の公式サイトでは Windows 環境ではビルド済みのバイナリとソースコード、Linux 環境でも大手ディストリならばディストリごとの apt や yum リポジトリにパッケージが準備されていますが、後者は最新版パッケージがなかったり、最近では Debian の公式リポジトリから無くなってしまったりとアレですので、ソースコードからビルドします。ちょっと手間がかかりますが、一度慣れてしまうと、必要な機能だけ切り分けてビルドすることができるようになりますので、エンドユーザ向けアプリケーションや WWW サーバ上で動かす場合など、用途に応じた最適化ができます。また、その気になれば Android といった携帯端末向けにビルドすることもできます。

wget -O occ671.tar.gz http://...
tar xvf occ671.tar.gz

解凍すると/tmp/occ/opencascade-6.7.1というディレクトリが生成されます。

ビルド方法については以下のディレクトリにドキュメントがあります。

/tmp/occ/opencascade-6.7.1/dox/dev_guides/building

ここ数バージョンでOCCTのリファレンスは doxygen に統一されました。ここにあるドキュメンテーションは markdown です。

最小構成ビルド

最低限の機能のみしか使わない場合は、次のコマンドだけでいけます。ビルド自体は automake 以外にも CMake、MSVC、XCode 環境でもできます。 また、100%かどうかは確認していませんが Clang/LLVM としてもビルドできるようです。

./build_configure 
./configure
make

OCCT には1万を超えるクラス群が存在しており、フルビルドは数十分、場合によっては数時間は平気でかかります。 就寝前や外出前に make していくことをオススメします。

なお、これから OCCT を触ってみたい人には、この最小構成ビルドはオススメしません

「数学ガール」書籍版を買いました

10月5日の日曜日、仕事で出社した帰りに本屋に寄って海事関連・コンピュータ関連の書籍を見てました。地方の本屋はそんなに品揃えは良くなく、今ではアマゾンなどのレビューを参考にするクセがすっかり付いちゃったので、書店に足を運ぶのも久しくなっていました。

さて、前々から「数学をちゃんとやっとかないといけなかったなぁ…」と中高生の数学の本を買って復習しようと思い、実際に何冊か本を買ってみたものの中々机に向かうことができず…。ちょうど参考書や数学の本が置いてあるコーナーが目に入ったので立ち寄ってみることにしました。

数学の本は畳一枚分くらいの棚にいろいろと難しそうなタイトルの本がありました。一番よく見えるところに見覚えがあるタイトルがあり、目にとまりました。

何冊かシリーズで出ていた本は「数学ガール」。以前、アマゾンのオススメに出てきてコミック版を買った本でした。コミック版上下巻を先に読んでしまったので、ちょっとイマイチ感があったんです。コミカライズした絵師の方には失礼なんですが、絵がしっくりこないのと、コミックならコミックとしての良さ(見せ方や演出)があるはずなんですが、あんまり面白いと思いませんでした。これはマンガで読むものじゃないなと。 その際に著者の結城浩さんのサイトにて原作であるWeb版をちょっとだけ読んでみて「こっちのほうがなんだかしっくりきていいなあ」と漠然とした感想を持ったまま、書籍化された小説版を読まないでいました。

手にとってぱらぱらと見てみると、数学の参考書なんかよりもよっぽど読みやすい口語文体が中心で、参考書が読み手に「覚えさせる」ことを主眼として書かれているのに対して、数学ガールは純粋に読み手に数学の面白さや美しさを紹介してくれ、あんまり強迫観念地味た情報の詰め込みがなさそうか気がしたので即、シリーズの一番最初の本を購入。

購入から1週間、それまで朝9時前から夜中の12時までの仕事がずっと続いていたので、ろくに読み進めてはいませんが、ちょっと読んだだけでも楽しいです。主題となっている数式遊びはもちろんですが、主人公やその他の登場人物のやりとりが計算し尽されているのかと思うほど「ちょうどいい」感じがしています。余計なストーリーを詰め込むことによってまどろっこしい舞台演出をするわけでもなく、かといって、教科書に出てくる加藤健や田中久美や、ネットワーク論議のアリスやボブのように、書き手が、「具体的なキャラクターを登場させて親近感を持たせ、それで覚えさせようとしている」といった、いかにも安直な手法であるとも思えません。 書き手の一方的な傲慢さがまったく無い構成が、非常に好感を持てました。

自分は一応ソフトウェアで飯を食っている人間なので、ソフトウェア界隈から見た視点で読み進めているところもあります。フィボナッチ数列を考える話では、数列から母関数、閉じた式を見いだし、さらに一般項を求める流れが簡潔にストーリー化されています。ソフトウェア視点で読みながふと思ったのは、次の場合分けした漸化式が登場した時点で、プログラミングの設計思考は止まってしまうんだろうなあ…と。

[math] a_k = \begin{cases} 0 \qquad (k = 0)\cr 1 \qquad (k = 1)\cr a_{k-2} + a_{k-1} \qquad (k \ge 2) \cr \end{cases} [/math]

k=0→9のフィボナッチ数列を出力するプログラム

ネットで検索すればゴロゴロ出てくるんでしょうが、とりあえず「数学ガール」の漸化式だけを頼りにコードを書いてみると…

漸化式のとおり、場合分けした上でk>=2の時に再帰的にk-2k-1を呼び出しています。簡単ですねー。

出力

出力も大丈夫なようです。

0 1 1 2 3 5 8 13 21 34 

コードとしては場合分けで十分なことが多々あります。この数列を得る関数fib()も、上の実装で十分だと思います。むしろ場合分けを使わずに、あえて難解なコーディングで実装するほうが可読性を損ねる原因につながり、それは往々にして悪とも言えます

しかし、数学はここで思考を停止させる理由はないのでどんどんと「美しい」形(≠難読化、どちらかと言えば標準化?)に成長させることができることを改めて印象づけられました。これは、実用性や可読性、安全性、安定性、速度といった日常的に大切にしなければない要素を捨て去り、ただただそのプログラミング言語の可能性や面白さを追求するために、あえて難読性を評価するIOCCCや、1バイトでも少ないコード量を追求した七行プログラミングと同じような楽しみがあります。

脳という量子コンピュータとそれを表現するあらゆるデバイス、ネットワークを備えた人類を一つのコンピューティングプラットフォームだとすると、そんな巨大なシステムが数千年の歴史の中で生み出してきた「数学」というソフトウェアには、現在存在するありとあらゆるプログラミング技術やハードウェア技術とは比べものにならないほどの高度な夢が詰まっている気さえします。これは絶対に勝てるわけがないなあ…と。

でも、コンピュータに対して絶望したわけでもありません。数学もコンピュータも切っても切れない縁があるわけで、対比できるようなものでもないし、それだけコンピュータの世界にも「数学のような可能性」がもっともっと存在する気がしてきて、嬉しくなってきました。

自分はソフトウェア屋としてはまだまだ三流だし、数学も全然できないので語る資格があるかないかで言えば後者だと思います…。ただ、そんな自分でもこういう楽しみを与えてくれる数学ガールは素晴しい本なんじゃないかと思いました。

ちなみに、数学ガールをTwitterでポロっとつぶやいて見たところ


著者の結城浩さんにリツイートいただいてました。一読者としてそれだけで嬉しい気分になります。

数学文章作法という書籍も出されており、数学ガールでも語られていた「言葉の大切さ」などをうったえる活動を精力的にされているようです。

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mruby の public/private について

最近ちょっとバタバタしていてあまりプライベートに時間を割けませんでしたが、連休に台風接近が重なった事もあり、連休初日だけ出社して残りの二日はお休みを頂きました。ということで、メモ変わりにここのところの事を書き止めておきます。

mruby の public/private について

mrubyではpublic/privateキーワードを言語仕様上で制約しているらしいです。この辺の実装を調べていた時に、Matzさんご本人から教えていただきました。

自分のつぶやきにもあるように、mruby-sirenでShapeクラスのインスタンスをスクリプトサイドから作らせたくなかったので、initializeをprivateにしようとしたんですが、なかなか見付からず…

よくよく調べてみると、既にそういう話が出てきていました。

there a way to create private methods? #1357

機能制限されている詳細な経緯は分からないけれど、コンパクトで軽量なmrubyの方針においてpublic/privateは利用者側の運用に任せても特に差し支えない機能のはずだから入っていないのかもしれません。(間違ってたらご指摘をお願いします…!)

ちなみにmruby-sirenのShapeクラスは、initializeをスクリプト側から呼んだら例外を吐くようにしています。

mirb - Embeddable Interactive Ruby Shell
> s = Shape.new
(mirb):1: private method `new' called for Shape:Class (NoMethodError)
> 

実装はそのままこんな感じです。

鎮守府史跡探訪〜佐世保橋(海軍橋)と佐世保海兵団之跡碑〜

9月12日(金)の夜から13日(土)の間にかけて、眼鏡を亡くしてしまいました。数ヶ月前、歩いている最中に胸元にかけておいた眼鏡を落とし、気付かずに踏んでしまって、作り直したばかりの眼鏡でした。佐世保に帰ってきてからは四ヶ町アーケードにある別の眼鏡屋さんに何度かお世話になっていましたが、佐世保にもようやく数千円で購入が可能な低価格帯の眼鏡を取り扱う店が出てきたので、様子見を兼ねてそちらに行くことにしました。

大阪に居た頃は難波駅のZoffにお世話になっていて、眼鏡を購入して難波で買い物をした帰りに受け取って帰る、というのが普通だったので、佐世保に帰ってきた初めの頃に佐世保で眼鏡を作ると1週間も待たされて、こういう小さな差異に驚かされたものです。ちなみに、今年になって前述の踏んだ眼鏡を作り直した時は2、3日まで短縮していましたが、30分で作れるZoffの利便性にはやはり敵いません。

させぼ五番街に出来たのは、Zoffじゃなくてジンズというお店でしたが、ウェブで確認するとZoffのように生産から販売を一手に自社で行なっているらしく、価格も低価格で即日受け渡しが可能ということで、喜んで買いに行きました。 というのも、明日月曜日に出張会議が入っているので、何としても本日中に眼鏡を作りたかったのです。先週は古い厚縁眼鏡をひっぱり出してきてかけていましたが、度が合っていないのと視界が狭いのと、やはり重いのが気になる。 古い眼鏡をかけて会議に望もうかとも思いましたが、ちょうと前述のジンズの話を耳にしていたので、購入する決心をしました。

昨日の土曜日は出張の書類作成で会社に出ており、そのまま母が運転する車に拾われ、妹と3人で弓張の丘ホテルでディナーをしてきた(佐世保の夜景とハウステンボスの花火大会が見れて良かった)ので、通勤に使っている自転車は会社に置いたまま。自宅から会社に行って自転車を取り、そこから自転車でウロウロがスタートです。

さて先週、Ingressにハマっている同僚のHさんが「佐世保公園の佐世保海兵団之跡碑」について調べていました。ウェブの誰かが撮った写真を見ると、どうも子供の頃に見覚えがある。ミニッツパーク(佐世保公園)周辺にあるということだったので大体の目星がついていたので、寄ってみることにしました。

ミニッツパークは在日アメリカ軍によって今なお占領されているエリアですが、一部は佐世保公園として市民にも開放されており、佐世保の中心地・一等地であるにも関わらず緑豊かな公園とスポーツグラウンドがある場所です。戦前は、何を隠そう佐世保鎮守府があった場所です。

さて、会社がある名切谷からミニッツパークに行くとすると佐世保川を渡らねばなりません。ミニッツパーク方面に行ける橋は、下流からジョスコー線が通っていた平瀬橋、アルバカーキ橋、佐世保橋(海軍橋)の3つです。目的地であるさせぼ五番街とは逆方向になりますが、写真撮影ついでに佐世保橋から行くことにしました。

ちなみに、佐世保橋もIngressのポータルになっているようです。

写真は佐世保橋です。橋の右手が市街地で、左手が旧佐世保鎮守府でした。川で市街地と鎮守府施設が分割されていたため、そこに架かる橋はいつしか海軍橋と呼ばれていたそうです。(ちなみに戦前から橋自体の正式名称は「佐世保橋」のようです)

橋をこえて正面に写っているビル群は、元町です。自分の本籍地で今は跡形もないですが、祖母の前の代までここで旅館をしていたそうです。

ちなみに、元町はその名前のとおり佐世保の「元」になった町のようです。佐世保鎮守府が設置される際に作成された測量地図を見てみると、佐世保は元町に数軒の民家が立ち並んでいるだけの小さな集落でした。その数軒の一つに教法寺があり、当時のまだ何もない佐世保の写真にも写っています。

写真は佐世保市のサイトにあるエンプラ事件当時の佐世保橋の写真です。奥の瓦屋根の門が教法寺。

佐世保は鎮守府が設置されて以降、主に佐賀方面から移民?が多くやってきたと言われています。もしかすると、この元町は本当の意味での佐世保人のルーツなのかもしれませんね。

スマホでの撮影なのであまり画質が良くないですが…、市街地側から旧鎮守府方向を見た佐世保橋です。中央の大きなマンションの奥に教法寺、その奥にあるグレイの独特な形の屋根をしているのが、海上自衛隊佐世保資料館(セイルタワー)です。

セイルタワーは佐世保水交社の跡地に建設されており、その水交社は、明治9年、日本海軍士官の親睦・研究団体として海軍省の外部団体として創設されました。

米軍接収後は将校クラブとして用いられ、自分が中1の頃(1997年)に現在のセイルタワーに生まれ変わりました。(画像は海上自衛隊佐世保地方隊のサイトから拝借)

現在の建物も当時の六角形の塔があり、面持ちを残しています。自宅からも自転車で5分もかからないところなので、時間を見つけて行ってみたいと思います。

さて、話が脱線しました。佐世保橋に戻りましょう。

佐世保橋から2車線道路一本分の近さにある浜田公園に、旧・佐世保橋の欄干の一部が残されています。この一部は下の碑文にもあるとおり2代目です。

佐世保橋を旧鎮守府エリアに渡ると、佐世保総合病院前に旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館があります。

私は中に入ったことがないんですが、以前入ったことがある母の話によると「内装は勿体ないくらいボロボロになっていた」とのことです。 佐世保地方隊のウェブサイトによると、これは耐震工事と復元工事らしく、2015年には戦前の華やかな姿に生まれ変わるそうです。佐世保はその土地柄ゆえ古い建造物が少ないので、こういう保存の動きは嬉しいですよね。

総合病院の横にある佐世保川沿いの道を南下していくと、アルバカーキ橋が見えてきました。

昭和41年に架けられた橋で、佐世保と姉妹都市である米国アルバカーキ市の名前をとって命名されました。この橋は、写真のずっと右に集中している米軍基地から、左の市街地に歩いて行く良い場所に架かっているため、米兵やその家族がよく歩いています。 この写真には写っていませんが、左のファミリーマートのさらに左側すじ向いに、いつもお世話になっている西海模型さんがあります。西海模型さんに行くとすごい確率で米兵しかいないのは、こういう立地のせいかもしれません。

アルバカーキ橋を前の写真でいう右手に進んでいくと、佐世保公園があり、米軍施設のゲートがあります。米軍施設と言えど、この奥は野球のグラウンドなどがあるスポーツ施設なので、休日もあって多くの子供たちが米兵に混じって出入りしていました。

写っているのはレストハウスらしく、以前中に入ったことがありますが、アメリカンサイズのコーラなどを飲めましたよ〜。

視線を右にちょっとずらすと、明らかに日常で人が使ってなさそうな道が続いています。米軍のフェンスがある左側はフェンスの向こうは往来が耐えませんが、こっちは誰もいません。苔と雑草ばかりです。

自分の記憶が正しければ、この奥に「佐世保海兵団之跡碑」があるはずですが…。

30メートルほど奥に進むと、明らかに最近のじゃなさそうな建物がありました。というか戦前の建物ようです。

もっと写真を撮らねばーと周り込もうとすると

佐世保海兵団之跡碑がありました!

あった…けど雑草となんかの資材にまみれてるーーー!

雑草などの生え具合から、どう見ても放置プレイです…。奥は自衛隊施設、左手は米軍施設、ここは一般市民に開放されている佐世保公園内のはずですから、許可なく入っても大丈夫なはずなんですが、誰も入ってなさそうな雰囲気がぷんぷんするぜぇ状態なのでやたら不安になります…。

左手を見ると、米軍フェンスのいたるところに貼ってある看板が。

米軍フェンスとの位置関係はこんな感じになります。奥の米軍施設のキレイなスポーツ場で子供たちがワイワイやっているのと対照的で、こちらは暗くて静かな空気が漂っています。

碑の正面から見たところ。碑に続く道の茂り加減を見ると、やはり少なくとも数ヶ月は人の手が入った様子はありません。

ナナメから。コンクリート製みたいですが、劣化による汚れが目立っています。手前の錨はなんなんだろうなあ、と碑文を探すと

右っぽいことが書いてあるだけで、錨については書いてありません。

碑の下を確認してみると、地元の名士であった辻一三の名前が。この人の邸宅は私の実家と目と鼻の先ということもあり子供の頃から名前を知っていました。終戦直後から高度成長期まで佐世保の議会や市長として活躍した人です。エンプラ事件の発端となった入港の受け入れや、原子力船むつの入港受け入れなど、今も評価は二分される人だとは思いますが、佐世保に強い影響を残した人には変わりないと思います。

彼の名前があるということは、市長として現職だった昭和38年から57年の間に建立されたんでしょう。

結局錨については分からず終いでした。錨についてはあんまり詳しくないですが、こういういかにも「錨!」って感じのストックアンカーは戦前のもののようなイメージがあるけどなぁ。

さて、この碑の周りには写真に写ってないところにも公園のベンチやゴミ箱が大量に置いて(投棄して?)あったりするんですが、そこに見覚えがある少年がいました。

やあ久しぶり!と言っているような気がしたので、思わず、ここにいたのか!と声をかけてしまいました。この少年とライオンは、小学生の頃に一番よく遊んだ木場田公園にありました。今ではその公園も今風のキレイな風貌に様変わりをしていますが、こんなところで再会するとは思いませんでした。台座部分がないですが、公園にあった当時は大人の身の丈ほどある重厚な台座の上にあったので、よじ登ろうとしてたのをよく覚えています。

公園の改築で撤去されたものの破壊してしまうのは偲びないと思った関係者の配慮でしょうか。劣化してボロボロになっていますが、ブルーシートがかけられていた痕跡もあります。

佐世保海兵団之跡碑が残念な状態で放置されていましたが、思わぬ再会も出来たので満足とし、最初も目的であった眼鏡を買いにさせぼ五番街に向いました。

家から自転車で数分圏内で、買い物ついでに史跡めぐりができるのはすごくラッキーです!

鎮守府史跡探訪〜佐世保 針尾島 浦頭引揚記念平和公園〜

旧帝国海軍 佐世保鎮守府 針尾送信所に行った帰りに、浦頭引揚記念平和公園に行ってきました。浦頭は、第二次世界大戦の終戦直後から数年間に渡って、アジア各地に展開していた旧日本軍や民間人の引き揚げが行なわれた場所です。

今年の2月に亡くなった私の祖父は、航空母艦「隼鷹」に乗った後、戦後は駆逐艦「楠」の副官として引き揚げ事業に従事していました。

実は引き揚げが針尾で行なわれていた事は以前から知っていたのですが、平和公園や資料館がある事は、その前を通りかかるまで知りませんでした。

※資料館の内部は、許可をいただいて撮影しています。

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