VRXにビキニカウルを取り付けました。

僕のVRXには、前オーナーさんが自家塗装した社外品のビキニカウルが装備されていました。一時は高速道路に乗る予定はなったので取り外していましたが、ゴールデンウィークのツーリングに供え、再度、取り付けてみました。

ビキニカウル

ビキニカウルは社外品の安価で出回っているもののようです。

元々は赤色だったものを自家塗装されたらしく、VRXを入手した時にはスペーサー付きの取り付けボルトで固定してあったのですが、いざ必要となって探してみるも見当たらず…。

取り付け

仕方ないので、近所のホームセンターでM10のステンレスボルトを3種類(35mm、40mm、45mm)×2個ずつとステンレスワッシャー、スプリングワッシャーを購入し、締めたり緩めたりしながらようやく取り付けができました。

結局M10/35mmのボルトを使ったんですが、噛ませるワッシャーの数が分からないと大変です。フロントフォークに固定されたステーでヘッドライトを挟み込むように圧がかからないと、ヘッドライトがガクガクなっちゃいますし、ビキニカウルとステーの間のワッシャーが少ないと、ビキニカウルが内側(図でいうと右側)に変形して割れてしまいそうに。色々な箇所にバランスよく圧をかけないと固定できません。

また、ヘッドライト本体のネジ穴の深さが思ったよりも浅くて(5mmくらい?)、「ビキニカウル〜ステー間のクリアランスさえ維持して締めつけておけばいい!」ってワケでもないんですよね。捻じ込もうと思っても、ヘッドライト本体に一定以上ボルトが入りません。

手が入りづらい場所でワッシャーが落ちないようにしつつ穴を合わせ、左右同時に締めつけて調整…の繰り返しだったので、割とストレスになる作業でした。

買ってきたワッシャーが厚み1.5mmのものだったので、取り付けボルトセットのスペーサー(厚みは5mmくらい?)があった方が作業が捗ると思います。

VRX のヘッドライトは H4 ソケットで、ハスラーと互換性があるようなので、そのうち LED 化してみたいと思ってましたが、この作業の繰り返しはちょっとツラいかも。

見た目の変化

さて、四苦八苦の上、取り付けができたのでまずは見た目の確認です。

取り付け前はこんな感じだったのが…

こんな風になりました。

んわー! かっこ…悪いッ!

スポスタにビキニカウルを取り付けて、カフェレーサー風にすると様になるような気がするんですが、元来重量級で鈍足なVRXにカウルという組み合わせなので、コンセプトが迷子になってるようにも思えます。

また、嫁ちゃんを路上で落っことさないように取り付けているスティード用のバックレストも全体的なバランスを崩してる気がしました。これは納車時になかったもので、僕が後付けしたものです。

ヘルメットと荷物があるので分かりづらいけど、リアがやたらと高いです。
足を伸ばして跨れない…。

VRX はリア部分が一般的なアメリカンよりも高く、純正のシート高もスーフォアよりも高い770mm。(でも、ハンドル位置が高いのでラインディングポジションは楽です)

バックレストを付けることによって、三段シートみたいな跳ね上がり方になっちゃっています。ロケットカウルと三段シートの組み合わせから成るバランスは、あんまり好みじゃないので、バックレストを取り外すことにします。

ジョグのヘッドライトとフロントタイヤを交換しました

Amazonで注文したパーツが少しずつ届いてきたので、ヤマハ ジョグ(CE50/SA36J)のメンテナンスをしました。やれる事からやってきたいと思いますよ〜。

前回、ハンドルカバーの前面とフロントカウルを取っぱらった状態からスタート。今日はどこまでできるかな?

ヘッドライトの換装

ヘッドライトは状態が良くなかったので丸ごと交換します。

購入したヘッドライトユニットはコレです。リフレクター、レンズ、ソケット、ケーブル、ハロゲンバルブがワンセットになったお買い得商品。

古いヘッドライトを取り外して、ハンドルカバー内に押し込むと綺麗にハマりました。この状態でエンジンをかけて点灯チェック。ハイ・ローともにちゃんと光っています。

作業は午前中で明るかったため、光軸調整は夜になってからしようと思います。ヘッドライトの換装はものの数分で完了しました。

後日撮影したヘッドライト。ガタガタせず、ハイ・ローともに点灯します。

タイヤの交換

次は劣化が激しかったタイヤの交換です。次のパーツ・工具を準備しました。

あとは、手持ちのメガネレンチと手袋など。ビードブレイカーがあると簡単かつ素早くビードを落とせるそうですが、持っていないのでタイヤレバーで頑張るぞい。

フロントタイヤ

フロント側は、フォークで両持ちになっています。車体右側のシャフトをメガネレンチで固定し、左側のナットを緩めていくと簡単に取れます。フロントブレーキユニットがホイールにくっついてますが、シャフトを抜くとカポッと取れます。

次に車体から取り外した前輪のホイールとタイヤを分離させます。虫回しを使って、タイヤの空気を抜いて、ホイールに密着したタイヤを踏みつけて空気をできるだけ抜きます。ホイールとタイヤの間(ビード)に、タイヤレバーを差し込んでタイヤを外していきます。ビードブレーカーはてこの原理を使って、力を入れずにビードを落とすことができます。

タイヤとホイールを分離できたら、ホイールを綺麗にします。パーツクリーナーで汚れを落としてウェスで拭きました。新しいタイヤのビード部分にビードワックスを塗り、空気穴マーク・回転方向矢印に注意しながらホイールに嵌めます。

コンプレッサーで勢いよく空気を入れてビードをホイールに密着させ、虫回しを使って虫ゴムで栓をします。チューブレスタイヤなので、「勢いよく空気を入れる」のが重要です。空気圧でタイヤを一瞬のうちに膨らませて密着させないといけないため、シュコシュコする手動の空気入れではダメみたい。(ちなみに今回、アネスト岩田のエアコンプレッサーも新品で購入しました。安かったけどあるのと無いのとでは雲泥の差…!!)

あとは、分解した手順の逆に組み立てていけば完了です。作業はおよそ15分くらい。

後日撮影した新品のフロントタイヤ。空気穴の位置と黄色い印を合わせています。

別の方(バイク屋さん)がジョグのタイヤ交換の動画をアップしてましたが、その動画では前後両方で15分で交換していました。スゴい手際の良さ…!

リアタイヤ

同じようにリアタイヤも交換していきたいと思います。

マフラーを固定しているボルト2本を徐々に緩めていき、エキパイとシリンダーをつなぐナット2本も緩めると簡単に取れます。リアは片持ちでスイングアームに固定されているのでマフラーを外したらホイールが丸々見えます。

ここで予想外のことが。いや…ある意味予想はできたのですが、上半身筋肉痛になるくらい大変な作業になりました。

というのも、リアホイールを止めている22mmのナットが固着してビクともしません。22mmというイレギュラーな径と錆びて噛みまくった緩み防止ナット、舐めまくる十二角メガネレンチという三重苦がやってきました…。

上の写真はナットにメガネレンチをかけているところです。元々結構なトルクで締められている部分で、Youtube のタイヤ交換動画を見ると、後輪をロックした状態でこのメガネを足で押し下げて緩めている人がいました。

しかし、このジョグはそんなに甘くないッ…!! 文字どおりビクともしません (´・ω・`)

インパクト用の22mm六角ソケットをホームセンターに買いに走り、バーナーで炙りながらガンガン叩くこと数時間。変わったと言えば、ナットの表面が削れてキラキラした程度。

嫁ちゃんを職場に迎えに行ったり、友達と花見の約束があったため、今日の作業は終了です。クワァ…。

どうすんのこれ

外見上、(素人目にも)一番ヤバかったリアタイヤの交換がまさかの壁にぶち当たりました。いろんな動画やマニュアルを参考にしてイメージトレーニングしていただけに結構なショック。

実はフロントタイヤ交換、ヘッドライト交換も同時進行でやっていたので、リアの手強さに動揺して随所で写真を撮るのを忘れてました(笑)

この図の17番のナットが取れない。

近所のバイク屋さんに泣きついて、もっとパワーのあるインパクトで外してもらうか…いや、リア用の新品タイヤも買っちゃったし、持ち込みパーツで工賃だけお支払いとは申し訳ない。それに、このジョグはメンテナンス教材としての目的でもあるんだし、自分でやらないと意味がない。うん、やっぱり自分でやるべきだ。

続きます。

ジョグのヘッドライトを確認しました。

前回、中古で買ってきた2007年式のヤマハ ジョグ (CE50/SA36J) の状態確認のため、ヘッドライトユニットを取り外してみました。

  • ビニールテープで止めておかないと、ヘッドライトが走行中にガタガタする。
  • ハイビームは光るが、ロービームに切り替えると消灯してしまう。

という2点の不具合があります。

ガタガタしちゃう

ビニテで補強。

前オーナー曰く、「ガタガタするので止めておいた」というビニールテープを外します。

ハンドルの左右数カ所ずつのボルトを外すと、ハンドルカバーが取れました。ヘッドライトユニットをカウルから引き出すと、何の障害もなく外に出てきました。コイツ…固定されてないッ…!

それもそのはず、ヘッドライトユニットの下面にある固定&光軸調整用ボルトの受け口部分がパキッと割れて欠落していました。うむ…。これじゃ固定できないのは当然。予想通り。走行中にガタガタいう原因が分かりました。

また、レンズ部分は無事なもののリフレクターには盛大な亀裂が入っており、中でカランカランと音がしてます。

よく見てみると、数センチ大の金属片がカラカラいってます。ほどよくぶっ壊れてらっしゃいます。

ロービームで消灯しちゃう

ロービームに切り替えるとヘッドライトが消えてしまう件は、電球のフィラメント切れかなぁと思いましたが、ヘッドライトユニットを取り外してみるとソケットが凄まじい事になっていました。

ヤマハのロゴが見えるので純正品の模様。

電球を取り外そうとすると、ソケットの固定部がボロボロと取れてしまいました。電球のフィラメントは切れてない模様。念の為、テスターで通電確認をしてみたところ、原因はこの劣化したソケットでした。

原因と対策

ヘッドライトユニットの固定部が割れて固定が不安定になり、カウルとレンズの間から雨水が入り込んでソケットが錆びて劣化を進めていたようです。

リフレクターは固定できずに割れまくり、ソケットは錆と劣化で接触不良、欠けや割れがないレンズもくすんでいて、電球は作業中に落として割ってしまったので、これはもはや丸ごと取っ替えコースです。

Amazon で互換パーツを調べてみると、リフレクター、レンズ、ソケット、バルブが一式になったセットがあるようです。

「SA16J用」となっていますが、色々調べたところ SA36J と同じユニットみたい。早速注文しておきました。届いたら交換します。

ついでに

ヘッドライトのソケットが劣化しまくっていたので、フロントカウルを剥がして中身を確認してみました。

「ぐぱぁ」

なるほど分からん。

スクーターの中身を開けて見るのは初めてです。結構フロントカウルの中に詰め込んであるんですね〜。ホーンとインジェクションコトローラーだけ、なんとなく分かりました。また、前カゴを固定するための金属ステーも付いているみたい。

大きなヒートシンクが付いてるのは、レギュレータ・レクチファイアかな。束になったケーブルが出ているのはインジェクションコントローラーです。そういえば、FI 車を持つのも初めてでした。

全体的に汚れが多く錆びている箇所もちらほらありますが、触っただけでボロボロ壊れてしまうようなところはなさそう。今の僕ではまだ分からない部分が多いので、そっと閉じることにしました。

続きます。

ヤマハ ジョグがやってきました。

個人売買で、ヤマハ ジョグ CE50 を購入しました。

前のオーナーさんは20代半ばの方で、5年前に市内のバイクショップで中古購入したらしいです。結婚を機に四輪車を購入し乗る機会が減ったこと、5年契約の自賠責が4月末で切れることなどを理由に手放すとのことでした。

オーソドックスなスタイルの原付スクーターには乗ったことがないので、自賠責が切れる1ヶ月の間、乗ってみたかった点と、自分のメンテナンスのスキルアップ用教材として手頃な状態だった点が購入に繋りました。

最初のオイル交換とシート補修を済ませて、写真を撮りながら状態を確認していきました。(あ、オイル交換時の廃油は安定のエスプレッソでした。)

全体的な状態について

「ザ・原付」と言わんばかりの風格。

型式は SA36J。ヤマハのオンラインパーツカタログで車台番号から調べた年式は2007年モデルでした。

車台番号から情報が見れて、パーツカタログまで見れるなんてヤマハはいいですね!最近のジョグは、ホンダのビーノとほとんど同じになっちゃってるらしいですし、ホンダもサービス面で良いところは吸収して欲しいですね。

僕のカブにはないフューエルメーターがあるのは嬉しいな。

メーターは動作・ランプを含めて正常に動いてます。走行距離は28,400km台。万が一ベルト交換なしでここまで走っているのなら、交換は必須かも。前オーナーさん曰く、中古購入後も同じバイクショップに持ち込んでいたようです。

オドメーターの最初の二桁の色が他に比べて変色してるのは、ちょっとひっかかります。28,000km 越えた辺りで長期間放置されてたのかな…。

外装は元々シルバーだったものを、フロントカウルを黒に、サイドカウル(…で呼び方は合ってるのかな。ステップボード側面の外装です。)を赤に自家塗装しているようです。小さなキズや紫外線による白化はありますが、大きな割れや欠けはありません。固定ボルトがいくつか抜けている箇所もありますが…とりあず、グラグラしているところはなく、走行中にカウルがガタガタ鳴ることもないです。

アフリカン・テイストなトリコロールカラー。

サイドカウルの上部に、なぜか緑色のビニールテープ。黒・赤・緑ってケニアの国旗みたいだ…(笑) 写真を撮りながら、手で剥げる分を剥いでいきました。

電装類は一通り確認したところ、おおよそ正常。バッテリーは弱っているようで、セルの動作は心もとない音です。それと、前オーナーがヘッドライトを「ガタガタするのでテープで止めた」とのこと。

「ビニテでおk」

ヘッドライトユニットの光軸調整のネジ部分が割れていて、ユニットを固定できなくなっていました。また、ハイビームは点灯するのにロービームは点灯しません。ロー側のフィラメントが切れてるのかな。この辺はユニット丸ごと交換しようと思います。

大切に乗ってても日光が当たると白くなっていくようです。

ステップボードは、紫外線による樹脂の白化で真っ白になっています。頻繁に使っていたようですが、屋外でカバーなし保管だったんでしょうね。強度的には問題がないようなので、後ほど綺麗にしてみたいと思います。

また、写真を撮り忘れましたが、シートも劣化して穴がたくさん空いていました。この記事に映っているシートは、新しく買ってきた補修用の汎用シートカバーを被せたあとのもの。専用品ではないため、シート側面にヨレが出ていますが実用上はこれで十分かな。2,000円から補修用の専用シートも売っているようなので、シート貼り替えの勉強がてら後日チャレンジするかも。

僕のカブにはないプッシュ式のウィンカースイッチだ。

ハンドルまわりも樹脂の白化やテカりが出たり、印字が剥げていたりとそれなりの年季を感じさせる風合いです(笑)。救いだったのが、グリップがベトついたりポロポロ崩れるほど劣化したりしてないこと。ブレーキやスロットル、各種スイッチの操作には特に影響がないので、この辺の改修は後まわしでも良さそうです。

そこそこ綺麗なシルバーの外装パーツとは対照的なリアキャリア。

リアキャリアは見てのとおりサビサビ。強度は問題なさそうなので、外して磨いて塗装し直せばまだ使えそうです。キャリア前方にある黒いキャップはガソリンの給油口です。タンク内を覗いたところ、ピカピカの銀色でした。

色々調べてみたところ、外装を自家塗装しているだけで、ほぼほぼノーマルパーツのみのようですね。前オーナーさんは10代後半〜20代前半で乗っていて、本人曰く「全然詳しくない」らしいので、妙なカスタムの痕跡はなくて安心しました。

さて問題はエンジンと足まわりです。

片持ちスイングアームのリア部。

素人判断なんですが、エンジンやトランスミッションから異音のようなものは聞こえず、アイドリングもとても安定しています。オイル漏れもありません。

前述のとおり、バッテリーが弱っているためかセルがかかりづらい事がありますが、数分乗ればキュキュキュッと控えめの回転音がなってすぐに安定したアイドリングに入りました。キックも数回でかかります。

マフラー内の掃除は大変かな。

ノーマルのマフラーはとても静かで良いんですが、全体的に錆びて粉っぽくなっています。エキパイも同様。穴や極端に薄くなってる部分はなさそうなので、これも磨いて再塗装すれば良さそう。二次エア用のチューブもノーマルのままついてます。

スベスベすぎるリアタイヤ。

外から確認できる一番の問題はタイヤです。リアの溝がほとんど削れてしまっています。乗ってみたところリアのグリップ感があんまりなくてちょっと怖い。30km/h 以上出さなければ滑ることはないと思いますが、側面のゴム割れもひどく、ちょっとした段差の衝撃でもパンクしそうです。

チューブレスなのでタイヤに穴が空くと即パンクです、怖い。

フロントタイヤはリアほどスベスベになっていないものの、やはり瀕死の状態です。

「バキバキ童貞です。」

ホイール近くにバッキバキにゴム割れが広がっているので、かなり硬化してるみたい。前後とも交換必須です。ブレーキの効きは悪くなくシューも残っているようですが、タイヤ交換の際に確認してみようと思います。

やることをまとめておくと、次のようになりました。

  • 前後タイヤ交換
  • ヘッドライト ユニットの丸ごと交換
  • バッテリー交換

ノーメンテで頑張ってきたようなので、オイル交換は小まめにし、様子を見ながらエアフィルタ、スパークプラグ、ドライブベルト交換…といったところでしょうか。

自賠責が切れるまでの1ヶ月弱、どこまで出来るかなァ…。

続きます。

VRXのシートを補修しました。

初年度登録が1996年、20年以上その形状を保っていたVRX の純正シートが、僕がオーナーになった1年半でへたってきました。うん、分かってる。きっと歴代オーナーの中で僕が一番重量級なのは…。

画面右が車体前方。

体重が重いのが原因でしょうね…。合皮が左右→下にひっぱられた結果、シート中央が進行方向縦に裂けています。3〜3.5cmくらいかな。

日頃から乗らない時にはカバーをし、できるだけ直射日光に当てないようにしてますし、雨があがったらカバーを外して湿気を抜いています。でも、乗り始めてから合皮用の薬剤などでケアしたこともなかったので、体重によるダメージを回避できなかったのかもしれません。しもうた。

数千円でシートまるごと交換できるカブと違って、マイナーな VRX は選択肢がほとんどありません。できるだけオリジナルのシートを大切に使っていきたいものです。

ゴムのりで補修

これを放置していたら、穴が裂けてどんどん広がっていくのは目に見えていますので、応急処置をしたいと思います。

強度的に耐えられるかどうか分かりませんが、合皮用のゴムのりを買ってきました。強度不足だったとしても、何もしないよりマシなハズです。

セメダイン スーパーX ブラック」。
やだ、戦隊ヒーローみたいな名前でカッコいい…。

手持ちのマスキングテープも準備しました。

裂けている穴を囲むようにマスキングテープで覆います。

色は黒色のものをチョイスしました。夜の作業なので見えにくい。

ゴムのりを穴の中まで染み込むように乗せていきます。

付属のヘラを使って、綺麗に伸ばしていきます。伸びたら、1〜2日ほど乾燥させます。

乾燥後

2日後、シートを確認してみると…

てゅるんてゅるんやこれぇ…!

補修したゴムのり部分がテカテカしてますが、ちゃんと乾燥してるみたいです。穴部分のゴムが剥がれないよう慎重にマスキングテープを剥がします。

うわー、かなり目立ちます。同じ黒とはいえ、遠目にぱっと見ても「何か付いてる」感が半端ない。よく見ると、穴の部分は肉痩せしていますし、シート表面に乗っている部分には段差があります。塗り方が下手だったかなぁ…(´・ω・`)

手軽な補修方法なので、とりあえず、穴から雨水が入ったり、これ以上穴が広がったりするのは回避できました。

ただ本格的に補修をするなら、一回すべてのシートを剥いで、裏から皮を当てて接着した方が良さそうです。

あとはどのくらい持つか。様子を見ていきます。

ハスラーにルーフキャリアを載せました! その2

前回記事では、ハスラーのルーフに載せるための以下のパーツを揃えました。今回はいよいよ載せていきたいと思います。

パーツがたくさんありますが、上手く分けてあるなあという印象を持ちました。ベースシートはオプション。取付フックはルーフ形状に依存しているのでハスラー専用。バーはルーフ幅に依存。ステーやラックは共通部品。組み合わせによって色々な車種やアタッチメントに対応できるよう、パーツ単位で分けて販売されているようです。

その分、車種によって取り付ける位置やパーツが変わるので注意も必要です。手の数は多い方が良さそうだったので、近所に住む弟に手伝ってもらいました。

ベースキャリアの取り付け

力の必要な作業はなく、位置を測って微調整、のくりかえしです。さすがどちらも日本製。パーツの工作精度はとても高く、ミリ単位で測って位置を決めていきます。

取り付ける前のハスラーのルーフ

ベースキャリア(ベースシート、取付フック、バー、ステー)の取付に別途工具を準備する必要ありません。ルーフとベースキャリアの固定は4箇所のボルトですが、これらは同梱されているトルクレンチを使います。

ベースキャリアを取り付けたハスラーのルーフ

手順は説明書のとおりです。前後のバーの両端にステーを取り付けて、測って決めたルーフ上の位置に載せます。フックを取りつけて、それぞれが歪まないようにボルトを締めていくだけです。

「○○の中心から××ミリメートル」といった、測って位置決めをしなければならないことが多いので、マスキングテープで目印をつけながらやると捗りました。

ルーフキャリアの取り付け

ルーフキャリアを取り付けたハスラーのルーフ

ルーフキャリアの取り付けには、プラスドライバー、マイナスドライバー、10mm のレンチが必要です。

説明書のとおり、サイドフレームと7本のポールで四角形のルーフキャリアを組みあげます。プラスドライバーとマイナスドライバー(マイナスは硬貨でもOK)を使います。その後、ベースキャリアの上に載せて、ベースキャリアのステーに干渉しないよう取り付け金具の方向(内向きか外向きか)を決めます。

ルーフキャリアを一旦おろして、取り付け金具を固定した後、再度ベースキャリアに載せて、手まわしのノブがついたボルトで締めれば完成です。

2人がかりで午前10時すぎに作業を始めて、すべて出来上がったのは11時半。1時間ちょっとの作業です。慣れたら1時間かからないと思います。

1人でも出来ない事はないですが、バランスを見たり、計測しながら左右前後の位置を合わせていく作業は2人いた方がいいと感じました。

今回、手伝ってくれた弟にとても感謝です。

テスト走行した感想

その後、佐世保市内から佐賀県の武雄市に乗っていきましたが、キャリアはビクともせずにとても安定していました。下道で約1時間の道のりです。

武雄温泉に遊びに来たよー!

高速道路はまだ走っていませんが、郊外道路の追い越しなどで瞬間的にスピードが出た時も安定していました。荷物を積んでいないので、特に運転した感覚が変わった様子もなし。

風切り音については、気になるレベルではありませんでした。スピードが出て、向かい風になった時に一瞬だけ、頭の上でコォー…と鳴っているかな?程度。走行音の方がよっぽど大きいので、オーディオをつけると分からなくなるレベルに感じました。

車体を横から見たところ。

ハスラーといえばツートンカラーのルーフ色(カラフルなベース色に加えて、白や黒のルーフ色)が印象的ですが、僕のハスラーは予算をケチったので[efn_note]ルーフをベースと別の色にするにはプラス4〜5万くらいでした。その金額があれば今回のキャリアが載せられるもんなぁ…。[/efn_note]、ルーフ色はベース色と同じメタリックカーキ。脚立のようなオシャレなシルバーのルーフキャリアが載ることによって、ちょっとしたワンポイントになったと思います。

購入前に作ってみた配色イメージ図。視認性と軽SUVっぽさを求め、前後側面デカール、サイドミラーカバー、ルーフキャリアでアクセントカラーとした。

契約前にイメージ図として作ったものに似てきました。実際に取りつけた様子を見ると「イメージしていたものより、キャリア部分が狭いかな?」と思ってしまいそうですが、近くで見ると割と広々しています。ホームセンターで売っているアイリスオーヤマのボックス(通称「ホムセン箱」)の85cmサイズが2つ積める計算です。

これ1つだけでも、後部座席を下げた状態の荷室容積が倍になる計算です。4人がゆったり座って、4人分のキャンプ・バーベキュー用品を積むことができるようになりました。キャッキャ。

車高アップ

ハスラーに装着したルーフキャリア(リア・左側)

今のところ、高速走行も強風の中大きな荷物も積んでいないので、車高が高くなった影響は全くありません。

ただ、機械式立体駐車場に停める場合はノーマルより注意が必要になりそうですね。

ノーマルのハスラーだと車高1660mmらしく、機械式立体駐車場だと1550mm制限もあるので、ルーフキャリアの有無に関わらず駐車できません。N-BOX+も1780mmなんでダメですね。

ハスラーに装着したルーフキャリア(フロント・左側)

ルーフキャリアまで載せた状態だと、車高がプラス十数cmになっているはずですので(後でちゃんと測ろうっと…)、余裕をもった制限のところに停めるのが無難だと思いました。

ハスラーにルーフキャリアを載せました! その1

新車のハスラーが届いてから1週間の間に、4回も雷雨と霰に見舞われました。佐世保では滅多にないことなのでびっくり…。

せっかくの新車が1週間でだいぶ汚くなってしまいました。ハスラーだけに、アラレちゃんが歓迎してくれてるのでしょうか…。んちゃぁあ… _(:3」∠)_

積載量アップするぞー!

それはさておき、納車前から予定していたルーフキャリアを取り付けていきたいと思います! 取り付けの目的は、積載量アップとちょっとしたドレスアップです。

僕のハスラーは、純正ルーフレールがないモデル。インターネットで調べたところ、「純正のルーフレールが付いているモデルだと純正のルーフラックしか載せられない」みたいな記事を見かけました。

アクセサリーカタログにもルーフラックベースキャリアの紹介はあるものの、ルーフレールの記載はない[efn_note]「※写真はルーフレール付車用です。」みたいな記述はありました。ハスラーのワンダラーとかにしか付いてないのかな。[/efn_note]んですよね。契約前にディーラー担当者に確認したところ、純正ルーフレールは付かないとの事だったので、社外品で固める事にしました。

カーメイト inno ルーフキャリア

今回、Amazon で注文したのは以下のものです。国産の大手メーカー、カーメイトの inno を揃えました。ハスラーのルーフに載せるものを下から順に紹介します。

ベースシート

ルーフという光沢面に数十kgの荷物を積載して、運転時にかかる力を支える訳なので、保護フィルムを準備しました。購入時は1,050円でした。

取付フック

ルーフの形状は車種によって異なるため、専用形状のフックが必要になります。僕のハスラーは上記のやつで良さそうです。車体側面側に噛ませる金属フック、ルーフ上部に噛ませる樹脂フック、雨漏り防止用のシールが入っています。購入時は3,682円でした。

ベースステー

フックとバーの間の立ち上がりの部分です。左右2個×前後の計4個入ってます。購入時は9,659円でした。

バー

左右のベースステーを連結して、アタッチメントを支えるためのバーです。前後で2本入っています。127cmのものを購入しました。購入時は4,496円。ハシゴなどの長物を積むだけであれば、以上の装備と固定用ロープorゴムだけでも何とかなりそうな気がします。(保証はできないけど…)スキー板やサーフボードといったものは専用のアタッチメントも沢山あるみたいですねー。

ルーフキャリア

僕は長物の他に、箱やバッグといったものを載せて走りたいので、ルーフキャリアを載せることにします。サイズは100のものをチョイス。購入時の価格は8,190円です。安心の国内メーカーの中では一番安いのかもしれません。お手頃価格のアルミ製のものです。レビューを見ると「風切り音が…」という話もありますが、さてどうかな?

耐荷重は?

それぞれのパーツのマニュアルを読むも、最終的に載っけられるモノの最大積載重量が良く分かりません。マニュアルには

  • 取付フックは30kgまで。(ただしルーフボックスを載せる場合は40kgまで)
  • ステーは60kgまで。
  • ルーフキャリアは50kgまで。

との記載。ルーフキャリアのマニュアルには

ルーフキャリアのマニュアルの計算式

上記のような算出方法も書いてあるんですが、「車種ごとの最大積載量」が何を指しているのかよく分からない。普通に考えるとボトルネックになっているのは取付フックの30kgだろうなぁ…なんて思いました。

取付フックの方のマニュアル。
これが「車種ごとの最大積載量」かな?

多分あっているとは思いますが、念の為、カーメイトに問い合わせてみました。メールで「コレコレを準備したけど、結局何kg載せられるの?アタッチメントってこの場合は何を指す?」という問い合わせだったのですが、平日に送ったのもあってか、数時間で返信がきました。しっかりした対応は嬉しい!

ハスラー(フラッシュレール無、H26.1〜、MR31S/MR41S)にお知らせいただきました ベースキャリア+アタッチメント(IN557/4.9kg)を取付けた際、 積載物の最大積載量は25.1kgになります。

(最大積載重量30Kg - IN557重量4.9Kg = 25.1Kgまでの荷物を積載可能)

なるほどなるほど。結局、フック自身の重量やバーの重量は関係なさそうです。25kg までであれば、小さめの二人掛けソファーなら積める計算です。ワアイ。これで十分。

マニュアル

パーツに付属しているマニュアルは公式サイトでも見ることができます。

バーや保護シートは、特に説明書はなくても大丈夫かと思います。

次は、いよいよルーフキャリアを載せていきたいと思います。続く

原付の自賠責は解約しない方が良いかもしれない。

原付の廃車手続きが終わったので、次は自賠責保険です。僕名義[efn_note]自賠責は被車両保険なので、車両にかかっていれば運転者は問わない。[/efn_note]で契約していた自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)を解約しました。

ナンバープレート交付のその日に、コンビニエンスストア(ローソン)で某大手保険会社の自賠責保険に加入。どのくらい乗るか分からなかったので、とりあえず1年間分の7,500円を支払いました。最低契約期間は1年で、2年、3年、4年、最長5年間まで選べます。長期にするほど、1年あたりのコストは安くなっていきます。強制保険なので、どの保険会社も同じ料金らしいです。

最短の1年契約では、1年あたりのコストは最大の7,500円。5年契約だと約3,400円です。「初期投資を最低限に抑えて、乗らなくなったら解約すればいいか。」と考えて契約。残りの保険期間を1ヶ月以上残して解約すれば、月割で払い戻しされるという意識があったため、あまり調べることもなく契約しまいました。

1月末に契約をして、本日3月15日。実質的な契約は1ヶ月半にも満たない期間でした。1月、2月、3月と月をまたいでいるため、「3ヶ月を過ぎたとしても、残りの9ヶ月分[efn_note]7,500円÷12ヶ月×9ヶ月[/efn_note]の5,625円は戻ってくるなぁ…」と皮算用しつつ保険会社の支社へ赴きました。(ちなみに、解約や名義変更は代理店ではなく、支社に行った方が早いらしいです。[efn_note]今回の契約はそもそもコンビニだったので、代理店らしい代理店はないんですが[/efn_note])

窓口に行き、解約の書類に住所、氏名、返金先の口座番号を書いて、廃車証明書を提出して、手続きは5分で終了。最後に「では、返戻金は2,080円ですね。後ほど振り込まれますので。」と言われて驚きました。

自宅に帰って調べてみると、返戻金の一覧をまとめた資料を損保ジャパン日本興亜が公開してくれていました。その一部を下記に転載します。

自賠責保険を解約した時の返戻金のまとめ
出典: 本州、北海道本島、四国本島、九州本島のお客さまへ(PDF)

僕のケースは原付1年契約、残り10ヶ月となるらしく2,080円で計算は合っていました。よく見てみると、どのケースでも一度契約すると、一律で 5,010円が差し引かれています。僕が契約していた保険会社のウェブサイトでは、こういう表は見つけることができず、「手数料等を差し引くので全額は返金しない。」とだけ書いてありました。

7,500円のうち、5,010円が保険料以外の「手数料等」になるのであれば、保険料の部分って一体なんだろう…。各契約年数のそれぞれの月の差を見ていると、どうも返戻金は月あたり200円前後のようですね。あくまでも「返戻金の表」ですが、5,000円以上が手数料等になるのであれば、保険料は月200円に見えてしまう。

短期間の加入や解約を想定していないお役所が決めたルールだと思うと、ちょっと釈然としません。強制保険での手続きなので、なおさらです。任意保険だったら、顧客にメリットがあるようなプラン[efn_note]東京海上日動のちょいのり保険(1日自動車保険)など、割高ではあるもののハードルが低い短期間プラン。[/efn_note]を保険会社が商品化してくれるはず。

うーん、とても悲しい…。勝手に思い込んでたとはいえ、数回乗っただけで保険料 5,000円超えとは… (´;ω;`)

これなら解約せずに、残りの保険期間・10ヶ月間を譲る相手に使ってもらう方が良かったです。手間などの採算度外視で未使用期間の保険料を回収したい場合以外はあんまりメリットがなさそうです。

今回学んだことは、

  • 返戻金は思った以上に少ない。期間によっては掛け捨てと思え。
  • 「途中で解約したら残りが戻ってくる」なんてアテにしてはならない。
  • 長く契約いたら「保険料が安くなる」んじゃなくて「保険料に対する手数料の比率が小さくなる」だった。

ということでした。

みなさんも自分で乗り潰さない(=次に使う人がいるかもしれない)原付の自賠責は、よく考えて契約・解約した方がいいと思いますよ〜…。

佐世保市で原付のナンバー返納手続きをしました。

1月末に嫁ちゃん用に購入した中古の50cc原付。ナンバーを交付してもらい、何度か公道を走りましたが、肝心の嫁ちゃんが乗らないので他人に譲ることになりました。

ということで、佐世保市で原付のナンバープレート返納手続き(廃車手続き)をしました[efn_note]4月になると税金の納付書が送られてくるので、譲渡予定の原付の廃車は3月中にしておきましょう。[/efn_note]。

参考までに僕のケースを書いておきます。詳しい手続き方法は佐世保市役所に直接、確認をとってください。

準備物

手続きについては佐世保市のウェブサイトでよくまとめられているので、迷うことはないと思います。必要なものは次のとおり。

  • 所有者の住所、氏名、印鑑
  • 車両内容(車名・車台番号・排気量・標識番号)が分かるもの
  • 取り外したナンバープレート

申告書

仕事の昼休みに佐世保市役所に出かけて、手続きをしました。市役所庁舎の二階にある資産税課の窓口前に申告書があるので、それをもらって太枠内と車両情報を書き込みました。

佐世保市の「軽自動車税廃車申告書兼標識返納書」

この申告書は、PDF や Excel 形式でダウンロードもできますので、あらかじめ印刷して記入して持っていっても大丈夫だと思います。別自治体の申告書も受け付けてくれたことがあるくらい、原付については割とアバウト融通が利いています。バイク盗難や問題が多い都会以外の自治体はどこも似たような感じなんじゃないでしょうか。

ナンバー取得時にもらえる「標識交付証明書」は持ってくる必要はないですが、車両情報(車台番号や型式)を記入する際、そちらの記載に合わせておいた方がいいと思います。

また、応対していただいた職員さん曰く、「届出者」は、「所有者」と同じであれば「同上」という記載だけでOKとのこと。印鑑もシャチハタで大丈夫でした。

廃車証明書の受け取り

記入が済んだ申告書と取り外したナンバープレートを窓口で提出し、「廃車証明書」を発行してもらえたら手続き完了です。手際よく応対していただき、5分ほどで終わりました。ナンバープレートをちゃんと返納したため、手数料もありません。

今回、発行してもらった「廃車証明書」。一部ボカしてます。

再発行もできるらしいですが、なくしても良い事はないので車両を手放す時まで大切に保管しておきます。この書類1枚に、「廃車証明書」のほか、原付を他人に譲る時の「譲渡証明書(左下)」と、自賠責保険の解約に必要な「廃車申告受付書(右)」がありますね!

さあて、次は自賠責保険の解約です。譲受人に委任状を渡せば、自賠責もナンバーも名義変更してもらえるんですが、ちょうど良い機会なので自分でやってみますよー!

「追い抜く」と「追い抜かす」

「追い抜く」ことを「追い抜かす」と表現している文章に違和感を感じます。インターネットや本で、バイクや四輪車の記事を読んでいると、よく「追い抜かす」という表現を目にします。これについての違和感は多くの人が持っているようですが、僕もその一人なので改めて、書いておきます。

「追い抜かす」?

辞書ベースでいうと、「追い抜く」という言葉が正式で「追い抜かす」は俗語として扱われているようです。

「追い抜く」は「追う」+「抜く」という二つの動詞がくっついて出来た言葉ですので、活用形は「抜く」のカ行五段活用です。語幹は「追い抜」。

  • 未然形 … 追い抜か、追い抜こ
  • 連用形 … 追い抜き、追い抜い
  • 終止形 … 追い抜く
  • 連体形 … 追い抜く
  • 仮定形 … 追い抜け
  • 命令形 … 追い抜け

一方、「追い抜かす」は「追う」+「抜かす」ですので、サ行五段活用。語幹は「追い抜か」。

  • 未然形 … 追い抜かさ、追い抜かそ
  • 連用形 … 追い抜かし
  • 終止形 … 追い抜かす
  • 連体形 … 追い抜かす
  • 仮定形 … 追い抜かせ
  • 命令形 … 追い抜かせ

「抜く」と「抜かす」は似てますが、違う単語です。二つの言葉の意味を見てみると、次のようにあります。

抜く

  1. 中にはいっているもの、はまっているもの、刺さっているものを引っ張って取る。「刀を―・く」「歯を―・く」「とげを―・く」
  2. 中に満ちていたり含まれていたりするものを外へ出す。「浮き袋の空気を―・く」「プールの水を―・く」「力を―・いて楽にする」
  3. 中にはいっている金品をこっそり盗み取る。「車中で財布を―・かれた」「積み荷を―・かれる」
  4. 多くのものの中から必要なものを選び取る。全体から一部分を取り出す。「書棚から読みたい本を―・く」「秀歌を―・いて詞華集を編む」
  5. 今まであったもの、付いていたものを除き去る。不要のものとして取り除く。「染みを―・く」「籍を―・く」「不良品を―・く」「さびを―・いたにぎりずし」
  6. 手順などを省く。また、それなしで済ませる。省略する。「仕事の手を―・く」「朝食を―・く」
  7. 前にいる者や上位の者に追いつき、さらにその先に出たり、その上位になったりする。「先頭の走者を一気に―・く」「すでに師匠の芸を―・いている」
  8. 新聞報道やテレビ報道などで、他社に先駆けて特ダネを報道する。すっぱ抜く。「スクープを―・く」
  9. 力などが他よりすぐれている。基準よりも上である。「実力が群を―・いている」
  10. (「貫く」とも書く)突き通して向こう側へ出るようにする。一方から他方へ通じさせる。つらぬく。「山を―・いてトンネルをつくる」「一、二塁間を―・くヒット」
  11. 型にはめて、ある形として取り出す。また、ある部分だけ残して他の部分を染める。「ハート形に―・く」「紫紺の地に白く―・いた紋」
  12. 攻め落とす。「城を―・く」「堅塁を―・く」
  13. 和服の着方で、抜き衣紋にする。「襟を―・く」
  14. 囲碁で、相手の死んだ石を取る。
  15. (動詞の連用形に付いて)そのことを最後までする。しとおす。また、すっかり…する。しきる。「難工事をやり―・く」「がんばり―・く」「ほとほと困り―・く」

※出典: https://dictionary.goo.ne.jp/jn/169219/meaning/m0u/%E6%8A%9C%E3%81%8F/

抜かす

  1. 入れるべきものを入れない。うっかりして落とす。漏らす。また、間をとばす。「順番を―・す」
  2. 抜けるようにする。力などを失わせる。「びっくりして腰を―・す」「現 (うつつ) を―・す」
  3. (「吐かす」とも書く)言う、しゃべるの意で、相手を卑しめていう語。言いやがる。ほざく。「てめえ何を―・すか」
  4. ある場所から逃げ出させる。「権三様をもあの婆が、見ぬやうにそっと―・して往 (い) なせませ」〈浄・鑓の権三〉

※出典: https://dictionary.goo.ne.jp/jn/169115/meaning/m0u/%E6%8A%9C%E3%81%8B%E3%81%99/

意味を見て分かるとおり、「抜く」の7番目の意味合いが強く、「抜かす」は誤用と分かります。

注目したいのは「抜かす」の2番目の意味、「抜けるようにする。力などを失わせる。」。1、2、4番目の意味では「抜かす」は他動詞という側面が強いので、「(自分が)相手に対して影響を与えたこと」を強調したい場合の「抜く」を「抜かす」と言っているように見えました。

でも、「抜かす」にはそもそも「前にいるものに追いつき、その先に出る」という意味はないので、ここが違和感の原因なのです。

「抜かす」派の人は、追い抜かれた事を「追い抜かされた」というんでしょうか?

確かに「打ち負かされた」感は強調できる気はしますけど、「負ける」と「負かす」のように明らかに主語と目的語の状態が逆転するほど、「抜く」と「抜かす」の意味は単純ではないので、誤用している人が多いのかと思います。

意外性?

ちなみにNHK放送文化研究所では

「追い抜かす」には、そんなことはふつうは起こらないという「意外性・びっくり感」のようなニュアンスもあるようなのです。

「追い抜く」? 「追い抜かす」? | ことば(放送用語) – 最近気になる放送用語 | NHK放送文化研究所

と、使われ方の傾向を書いています。なんだろう…フワフワした回答だし、的を得ている感じもしない。

僕は、「追い抜かす」派の人がツーリング中に、仲間にインカムで「前の車、追い抜かそう」と話してても、「びっくりさせてやろう」なんてニュアンスは感じ取れません。

そもそも、語感や文字数の都合で言葉を変える可能性がある歌詞を評価対象としているのは、どうなのかな。

「追い抜く〜」という歌詞だとメロディやテンポの都合で合わないので、(誤用という認識があっても、俗語として意味は通用する)「追い抜かす〜」とする場合もあるだろうから、純粋かつ日常的にみんなが使っている口語ではないです。

歌謡曲がその時世を映している点や、このようなページではみんなが知っているような文章がふさわしい点から、歌詞を評価対象としたのは理解できますが、自分から積極的に「正しい言葉が〜」と言ってる団体であれば、もうちょっとマトモな回答や見解が欲しかったです。

結論

僕は、日本語原理主義者って訳ではないし、日本語の専門家でもないのであまり偉そうなことを言えません。

「抜く」や「抜かす」のほか、「抜ける」や「抜かる」という言葉があるように、日本語はとても複雑です。言語は、時代ごとの使う人にとって(誤用も含めて)形成されていくものなので、ひょっとしたら近い未来の辞書に「追い抜かす」が載るかもしれません。

この「追い抜く」「追い抜かす」議論は、他のブログでもよく取り上げられていて、いろいろな解釈もあるので今更どうという話はないですし、「追い抜かす」派の方に対していちいちツッコミを入れるほどでもないです。

しかし、「追い抜かす」という言葉は誤用と知っていて、さらに、「抜かす」に「ほざく」、「ハブる」に似たマイナスイメージの意味があり、「(相手を)打ち負かす」という敵意を含むニュアンスを連想してしまうので、僕は公道の上では使いたくないなぁ、と思いました。