スーパーカブのオイル漏れの件です。準備だけは前回記事の直後にしていたんですが、また1ヶ月以上空いてしまいました。今週末から梅雨の長雨に突入する予報なので、駆け込みで作業したいと思います。
前回までのあらすじ
クランクケースカバー(左)のリア側の固定ボルトの取り付けミスによって、どうやらクランクケース内部に穴が空いてしまっていた僕のスーパーカブ。「しまっていた」と言うのは、前オーナーが穴を開けてしまっていて何らかの方法で補修。それをショップが買い取り、気付かないまま僕に販売し、今になって補修がダメになったようです。(詳しくは前回記事)
購入したバイクショップに持ち込むと修理不可とのことで、穴が空いているボルト穴の奥にシリコンを流し込むという応急処置がなされた状態。(それで体良く厄介払いされた感じ)
その応急処置の結果もご覧のとおり。当日からオイルがしたたっており、2〜3日で以前と変わらない状況になりました。バラしていないのはもちろんのこと、エンジンオイルが入ったまま外からシリコンシーライトを注入していたので油膜に振動や熱が加わり、すぐに剥離したようです。注入されたのが耐熱シリコンかすら怪しい…。写真は一日同じ場所に駐車していたら出来るオイル貯まりの様子です。
僕の場合、乗りたい8割・いじりたい(メンテの勉強やスキルアップしたい)2割のタイプなので、さすがに全バラしは腰が引けています。そんな中、カブのアルミ製クランクケースの補修に「JBウエルドで穴埋めしてみては」というコメントを頂きました。なるほど、金属補修用のパテか!
早速翌日、近所のホームセンターに行き探してみました。JBウエルドは店頭になかったので、セメダインの金属用エポキシパテを買ってきました。安いけど一応耐水・耐熱。引けもほとんどないらしい。レビューを見るとバイクのガソリンタンク漏れの補修に使っている人もいました。これを使って、ちゃんとした「応急処置」をしていきたいと思います。
志は低く! 3年持ってくれたらそれでヨシ!
エンジンオイル排出
まずはクランクケース内部からエンジンオイルを抜いていきます。クランクケースの補修関連で他のブログなどを見てみると、オイル抜きに数日かけている人もいます。我が家の作業場は屋外駐車場で初夏の虫は舞うわ、雨は降ってなくとも梅雨の湿気はあるわで、長時間クランクケース内部を外気に晒したくありません。この為にパーツクリーナーを5本買ってきたので、ドレン穴や注入口からガンガン噴いて排出しようと思いました。
(ちなみに作業中に外を舞っているゴキブリに遭遇したので、パーツクリーナーで退治しました。めっちゃ飛びまわっててびびった…)
うーん。オイル漏れの件をやっている間、乗る頻度に比べてかなりオイル交換をしているはずなのに結構汚い…。
で、よく見てみると出てきたオイルに白い筋が入ってます。まるで褐色の恋人状態。こんな白いスジャータが出てきたのなんて初めてです。本当にありがとうございます。
ひょっとしてこれはバイクショップで注入されたシリコンがトランスミッション内部に入り込んで良い具合に液化するまで粉々になったもんでは…。こわい。
エンジンからの異音はしていなかったので、粉々になったクランクケースのアルミ片ではないとは思います。オイル漏れが発覚してから10回以上オイル交換をしていますが、こんな色になるのは今回が初めてだし。どっちにしろ中身がアレな事になってそうです。やだなあ。
パーツクリーナーを噴きまくったり、車体を傾けたりして残留しているオイルをできるだけ出しました。クランクケースカバー(左)を外して、問題のボルト穴を確認してみます。
シリコンとの戦い
白い矢印のところですね。クランクケースカバー(左)を固定しているボルト3本のうち、ここのボルドだけ短いです。それを前オーナーが間違って他の長いボルトを一番奥まで捻じ込んだ結果、穴の奥のクランクケース内部を仕切っているアルミ板に穴が空いている状態です。
3点止めのボルトを間違ったまま(他の2本のうち1本はそもそも短いとネジ溝に噛まない状況で)一番奥まで突っ込むなんてなんてハイな前オーナーさんなんでしょう。
そのボルト穴の周辺や中には真っ黒になったシリコンがベトベトになってくっついていました。丁寧に除去していきます。
パーツクリーナーのノズルを突っ込むと、穴の奥でブヨブヨした感触が伝わってきます。ウワァ…のうみそだこれ。
ひっこ抜くと、ノズルの先端に真っ黒なシリコンが詰まってました。思ってた以上に凝固してません。
ってか、そもそもシリコンシーライトって乾燥で硬化するんじゃなかったっけ。ショップの店長がやった作業は
- 内側がオイルたぷたぷの状態で
- シリコンを注入して
- すぐにボルトを突っ込んでた
ので、いつまで経っても乾燥・硬化しませんよね。あっれ、頭痛がしてきたぞ…?
角度を変えて抜いたり刺したりしてみると、一気に奥までノズルが入るところがあります。これだ。「穴」だ。クリーナーを噴射してみると、数秒遅れでドレン穴から液がポタポタ出てきました。完全に貫通してやがる…!!
絵にしてみるとこんな感じ。
このシリコン注入が厄介で、ボルトでバキッといっちゃうくらいの板厚のアルミケースなので、バーナーで局所的に加熱して焼く払うのも躊躇します。
とりあえず、「長い方の」ボルトを一番奥まで突っ込んで、できるだけ除去しました。
クランクケースの穴埋め
穴のクリーニングをひとしきり済ませたら、ようやくエポキシパテの出番です。
急いでホームセンターに買いに行ったけど、結局1ヶ月半以上も作業ができなかったのでネットで買った方が良かったかも。実際に必要なのはBB弾3個分くらいの量ですが、このパテは混ぜて使う二つのパテがロールケーキ状になっているタイプです。A剤とB剤に分かれているタイプは分量に注意する必要があるので、その心配がない二層タイプになってるんでしょうね。
仕方がないので、カッターで 1cm ほど切り取って手でこねて混ぜます。これだけで数十個のボルト穴を全埋めできそうな量。付属のビニール手袋を使ってまんべんなく混ぜようとするもペタペタくっついて上手く混ぜれません。結局、手袋を使わずに混ぜました。(手にも材にもあんまり良くないんだろうなぁ)
10分で実用強度になるらしいです。作業時間はあんまりない。必要量を千切って、ボルト穴にできるだけ捻じ込み、急いでクランクケースカバー(左)を取り付けて短いボルトを数回ゆっくり抜き差ししました。見えないし手も入らない奥で、まんべんなくパテが行き渡るようにしつつ、隙間を作ってもいけない。それでいてスピードが求められる作業です。
実用強度になるまでの時間が10分なだけで、作業時間が10分というわけではなく、混ぜて5分もたたないうちに使わなかったパテの残りが発熱し硬化が始まりました。慌てていたのでパテを突っ込んでいる写真を撮る暇がありませんでした。
あとは神頼みです。カバーを取り付けた状態でしばらく放置します。待っている間にリアタイヤの軸を緩めて、ドライブチェーンのたるみを直しました。ついでにフロントスプロケの固定ボルトも若干緩んでいたので増し締め。
10分ほど経過したのち、クランクケースカバー(左)を慎重に取り外してみました。
問題のボルトも、特に異音や変な感触がすることなくちゃんと抜けました。よしよし良い具合。パテの説明書を読むと、「10分で実用強度になるが研磨したり削ったりする場合は24時間おく」と記載があったので硬化が落ちつく明日まで待とうと思います。
テスト走行
翌日、エンジンオイルを入れて山道や広い国道など数km走ってみました。時間は20分くらいです。途中でアイドリングが弱くてエンストしそうになる一幕もあり、少し回転数を高めに設定し直しました。パーツクリーナーが抜け切れてなくてオイルがまだ馴染んでないのかな。
それ以外はチェーンとリアタイヤの調整の効果もあり、エンジンの回転やレスポンス、走っている感覚すべてにおいて絶好調。前後スプロケとチェーンの掃除もしたので、滑らかで良い感じです。
走り終えた後にセンタースタンド付近を見てみると、今のところ漏れはなさそうな感じですねー。熱・振動・長時間放置、いろんな側面で様子見が続くと思います。
明日から梅雨の長雨で室内保管になります。滲むか漏れるか、それとも完全に止まってくれるか。
[…] スーパーカブ(AA01)のクランクケースに穴が空いていて、オイルが漏れる件です。去年の夏(2021年7月)に、セメダインの金属用エポキシパテで穴埋め補修をしてみました。 […]