カヤックの艤装のウェルナット

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九州の近海は一年を通して水温が15℃弱程度あって、冬場でも適切な装備(ドライスーツなど)があればマリンレジャーを楽しむことができます。僕はドライスーツを持っておらず、冬の吹きっさらしの中カヤックで出艇するのも気が退けていたので、今回の冬はシーズンオフとなりました。

ここのところ、春の兆しが見えてきました。最高気温も20℃ほどになってきたので、春の海に出られる季節です。

同じく春の到来を待っていたカヤック仲間の知人が、新艇の進水式を行うとのことでしたので、昨日日曜日にご一緒させていただきました。

その内容は別記事に任せることとして、今回の出艇で改めて確認できたカヤックの問題点をまとめていきたいと思います。

問題点

シットオントップカヤックは、艇が水密を保っていなければ機能しません。それは喫水の上であっても同じです。波がかかってそこから海水が浸入してくることを防がなければならないのはもちろんですが、艇に穴が空いていると艇内の内圧が下がってしまい浸水が加速します。

艇に艤装をする以上、穴を空ける必要があります。完全に水密(または気密)を確保しつつ、力がかかっても破損しないようにするのは、結構大変なようです。

穴を空けて取り付けなければならない止め具が問題だらけでした。

バウのデッキコードの止め具の固定

日曜日の朝から出艇する予定だったので、前日の深夜…正確には当日の午前1時頃にカヤックをカートップに積もうとしました。手順は、カヤックを裏返しにして車のルーフキャリアに立てかけて、スライドさせて定位置に置いてベルトで縛ります。

積載しようとカヤックを裏返しでスライドしている最中、バウ側に自作したデッキコードの止め具がルーフキャリアのバーに接触して取れてしまいました。暗いときに作業をするとダメですね…。あと、艤装をする時に裏返しに積むことも想定しておかないとダメなようです。

止め具がちょっとした力で取れてしまうのもそのはず。実は艇にシリコンシーラントで接着されているだけでした。ボルトとシリコンで取り付けるつもりだったのに、M6のボルトに対して6mm穴を空けてしまい、ボルトが機能しなくなりました。シリコンの接着力だけでもデッキコードに荷物を挟むくらいのことは出来ていたので後まわしになっていましたが、しっかりと固定してやらなければなりません。

後述のウェルナットが1つだけ余っていたので、6mm穴を10mmに拡張してナットを差し込んでみたところ、あろうことか艇の内部にナットを落としてしまいました。本当にバカです。 orz

このままだと出艇できません。ビニールテープや粘着テープでも艇の表面に貼り付けてもすぐに剥れてしまいます。ゴムバンドを丸めて栓にしようとしても隙間が出来てしまいます。空いた穴にシリコンを流し込んで塞ごうとしても、艇の中に手が届かないので取り返しがつかない自体になり兼ねません。中空なのが本当にもどかししいー!

途方に暮れていたら嫁ちゃんが穴を塞げそうな「何かのプラスチックパーツ」を持ってきてくれたので、応急処置を接着剤で貼り付けて穴を埋めました。

内側に手が入らない状況でポリプロピレンを溶かして穴を塞ぐか何かしなければなりません。

ハンドルの止め具の固定

このカヤックは、運搬のための持ち手になる部分がほぼありません。分割式カヤックで、パーツ毎に分ければ10kgちょっとと、手がかりがなくても抱きかかえて運ぶこともできなくはありませんが、海水でベトベトになって砂まみれの艇と服のままハグしたくありませんね。その後、普通に運転して帰るのであればなおさらです。

そこで、去年の11月のシーズンオフ中にハンドルを取り付けてみました。使ったのは、キタコがバイクの防振用ボルトとしているウェルナットです。防振用ということで、ゴムパッキンみたいな役割をしていて、中空や中に手が入らない箇所でも使えるナットです。

仕組みは次のとおり。

青色の部分が穴を空けた部材、グレイの部分がウェルナットです。ウェルナットはゴムで出来ており、一部分だけ真鍮製のネジ溝があります。ここにボルトを差し込み締めつけると、ネジ溝がボルトと噛んで外側(図では上方)に引き寄せられ、たわんだゴムによって部材が挟まれます。これでボルトが抜けなくなるわけです。

バイク用としては水密や気密は関係ありませんが、ゴムがパッキンの役割を果たしてくれるのでカヤックにも使えます。シリコンによるコーキングも必要がないためとても便利です。

艇にいきなり穴を空けるのは怖かったので、裏側からも確認できるプラスチック板で試してみたところ上手くいきました。

これで安心して取り付け、ハンドルに負荷をかけてしっかりと固定できていることを確認していたのですが…。

オフシーズン明けの昨日、出艇場所に到着してカヤックを降ろしてみると取れていました。穴が空いていると出艇できませんので、あわてて締め直してもすぐに脱落してしまいます。それもそのはず。ゴムの部分を確認してみると、思った以上に広がっていません。

どうやら、艇の厚みが関係しているようです。前述の図のように、部材と真鍮のネジ溝の間に十分距離がある場合、ゴムが広がって適切に締めることができますが、今回はそれなりに厚みがあります。8〜10mmくらいでしょうか。

一方、ウェルナットのゴムが広がる部分の距離は9mm-1.2mm=7.8mmしかありません。つまり、次の図のような状態になっていたと思われます。

部材が厚すぎてゴムが広がって逃げる隙間がありません。去年の11月に確認した際、取り付けたハンドルを使って艇を持ち上げても取れなかったのは、逃げ場を失ったゴムがガチガチに穴を塞いでいたからだったようで、数ヶ月経った昨日、上へ引き抜く力を与えたことによって簡単に抜けてしまったようです。

内側から状態を確認できない箇所で、テストもしていたので完全に盲点でした。商品ページをよく確認してみると、「板厚0.5mm~5.0mm」という表記も書いてありました。

ハンドルを取り付けて持ち上げようものなら、本当にスポッと抜けてしまうので使いものになりません。しかし、穴が空いていたら出艇できません。仕方なく、ハンドルがひっかからないように外して栓としてウェルナットを締めて出艇しました。

帰宅後に「もっと厚い部材に取り付けできるウェルナットはないかなぁ」とAmazonで調べてみましたが選択肢がほとんどありません。そもそもがバイクのカウルやシールドを固定するためのものなのでどれも似たようなものばかり。同じキタコでもっと大きなウェルナットも販売されていますが、ボルト径が大きくなってしまうので選択肢から外れました。

それで、最終的に注文したのはスズキ車用のロングタイプのウェルナットです。Amazon の商品ページには取付可能板厚どころか寸法図もなし。型番で検索したところ、寸法図だけは出てきました。

肝心な取り付け可能板厚は記載がありませんでした。色々なサイトを調べても板厚の記載は見つけることができず、不確定要素満載で不安だけど届いたら挑戦してみたいと考えています。

佐世保のシステムエンジニアです。詳しいプロフィールやこのブログについてはこちらをご覧ください。

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