そろそろクラウドストレージの季節

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こんにちは。慢性的にストレージの空き容量がカツカツの dyama です。

僕が高校生の頃、持っていたノート PC のストレージサイズは 5GB でした。その後、頑張って組んだタワーマシンでは驚愕の80GBストレージを搭載しました。小学生の頃までファイルを 3.5 インチ FD (1.44MB) に保存していたので、高校生ながらムーアの法則スゲー!って思ってました。生きてるうちはずっとそうなるかと思ってましたヨ。

10年くらい前まではその傾向も続いていた気がします。でも、ここ10年って主観の時間が過ぎるのが早くなった割にストレージサイズの進化スピードが鈍化しているようです。

ストレージの空き容量問題

今、僕のメインで使っている手元 PC は次のストレージ構成になっています。今から4年半前に入れ替えたままの構成です。ストレージ容量としては7〜8年ほど同じ規模です(驚愕)。

  • 内蔵 SSD 256GB … / にマウント。
  • 内蔵 HDD 3TB × 4 = 12TB … RAID10 で実質6TB。データ置き場。
  • 外付 HDD 1TB … 持ち運びや一時的に巨大データを置いておく場所。

今から10年前の2011年でも、普通に1〜2TBのハードディスクって売ってましたよね。そう思って検索してみると、「価格高騰+在庫不足傾向で大混乱 現在のHDD売れ筋チェック(2011年10月第5週版)」という記事を発見。USB2.0 ベースではあるものの 2TB 外付け HDD が売れ筋ランク1位になってました。

まあ、今では8TBとか12TBとかの内蔵HDDが一般人でも買える金額で登場してきていますが、期待していたサイズではないんですよねー。

大規模ストレージの需要

10年前より明らかにインターネット人口は増え、誰もが高速ネットワークで大容量のデータをやりとりする時代です。特にここ10年ほどで日本でも、HuluNetflix、Amazon プライムビデオといった商用の動画コンテンツ配信サービスが定着してきました。また、YoutubeInstagramTwitterTikTok などの動画によるコミュニケーションが可能なサービスの定着であったり、Web 広告の画像・動画比率の変化など、「マルチメディア」において動画が占める割合が高くなっていることは確かです。(マルチメディアって言葉も死語になってお久しぶり!)

このブログも10年くらい書いてますが、当初はテキスト中心、それから画像を多用するようになり、今ではようやく動画を使ったコンテンツも増やしつつあります。ビッグウェーブに乗り遅れまくりとはいえ、今後も観る立場としても発信する立場としても、これまで以上に空き容量を要求してくる動画コンテンツは重要になってくる訳ですね。

6TB が常に98%前後で推移している状態なので、不要ファイルの整理もそこそこに前回リプレイスしたストレージをさらに拡張する必要が出てきました。特に今の仕事で動画を扱っているので、空き容量が少ないと生産性の低下にもつながります。これはメシに直結するゆゆしき事態。

クラウドストレージという選択肢

そんな折に、日頃から魂を売り渡している Google のサービスがそろそろ使い時ではないかな?と思うようになりました。そろそろ物理的なストレージを自分で購入して使うよりも、クラウド上に預けておく方が費用対効果が高くなってそうだと思うのです。

クラウドといえば他人との共有や同時編集など、他者とのつながりが目玉として扱われます。もちろんその恩恵を受けるつもりではいますが、まずは「物理ストレージの置き換え」という視点で考察します。

Google One

去年の6月に Google フォトが無制限に高解像度写真を保存できる機能が終了したのは記憶に新しいと思います。「大量のデータセットを世界中からかき集めることが出来たので、そろそろ有償化」という流れなんでしょう。これまでタダで使わせてもらっていたので特に反感はないです。

この時にフォトだけでなく GMail やドライブなどのアカウントに紐付けされた保存容量が統合され、Google One というサービス形態に移行した模様です。Google One で契約しているプランによって、フォト、GMail、ドライブのそれぞれで容量を分け合う、と解釈しています。

そういえば以前、Google サービスの招待キャンペーン的なものに参加すると Google ドライブ・GMail で使えるストレージサイズが最大 100GB になるのがありましたね。仕事用 Google アカウントがそれで、ずっと 100GB 使えていたんですが、ある日 15GB に戻りました。Google One としてのサービス展開を見据えての準備だったと思われます。

Google 以外のサービス

Amazon プライム会員を長く続けていることから、過去に Amazon Photos も触ってみていました。FireTV のスクリーンセイバー用写真を転送するだけして、あとは放置気味。Google フォト有償化に伴い、ライバルとして脚光を浴びさせた記事を目にして再度、触ってみました。

考察をまとめると下記のとおり。

  • クラウドストレージという性質では比較対象外かなー。写真と動画のみ。
  • 写真だけなら無制限なので Google フォト単体に対してそこそこ優位。
  • 動画は普通に容量を食う(プライム会員は追加料金なしで5GBまで)。
  • 大量に写真を預けた状態でいきなり有償化されてしまう際のリスク。

写真バックアップの予備として使ってもいいけど、積極的に使うメリットはあんまりなさそうです。有償であっても写真以外のファイルも突っ込みたいところ。まー、動画配信、音楽配信、通販は Google どころか Amazon にべったりなので、使い分けといったところでしょう。

また、DropBox や Box、OneDrive も職場の Windows 上で主な仕事をしていた頃に使っていましたが、

  • 他目的でもお世話になっている大手サービスに高性能なストレージサービスがあるので、あえてわざわざ DropBox や Box といった専用サービスを利用するメリットがない。
  • OneDrive は Office 365 との統合など、MS 系クラウドサービスに乗っかると享受できるメリットはありそうなものの、クラウドと親和性の高いモバイル分野での MS はすっかり蚊帳の外。ここ10年でコンシューマ分野での存在感がなくなっていく気がする。

といった印象。これらも積極的に使う理由はありませんでした。

課題

さて、Google フォト、Gmail、ドライブはそれぞれプライベートでも仕事でもガリガリ使っているので、機能的な魅力は充分に理解しているつもりですが、これまで有償プランが検討対象に入っていなかったのは

  • インターネットの向こう側に置くことになる。
    • 通信回線の問題。アクセスしたい時にすぐできない。
    • 手元ではなく他者 (Google) に任せることになる。Google がすべての法となる。
  • 必要な容量を契約しようとすると、やはり割高になる。

という懸念があったからです。

まず「アクセスしたい時にすぐできない」問題は、言い換えると「アクセスするためにダウンロードする必要がある」ということですが、動画であればストリーミング再生もできるし、写真であればプレビュー品質でブラウザ上で確認できます。ファイル内全文検索や AI を駆使した強力な画像検索機能など、考え方によってはローカルストレージに保存しておくよりも早く目的のファイルにアクセスできると思います。

正直な話、個人がウンTBのストレージに20年以上注ぎ足した濃厚ファイル群を常に管理していくのって難しいと思うんですよ…ファイルは増える一方で、そろそろ人手での整理は限界です。Google 先生に預けておいた方が必要なファイルをササッと出してきてくれそう。

また、大量に通信する場合プロバイダによって速度制限を課されるリスクがあります。(僕の契約プロバイダだと送信30GB/日が閾値。)

次に「Google に任せることになる」点については、これほどまでに国境を越えた社会インフラになってしまっている点を考慮すると杞憂かもしれませんが、一度 Google を敵に回す(?)とデータ資産であったり、今のデジタルライフをすべて失ってしまうリスクがあるわけです。もちろん、敵に回すつもりは毛頭ないですが、巨大権力に怯えて便利な環境を使っている感じはちょっとなぁ。本当に将来に渡って保存しておきたいデータは別途バックアップすることが前提ですよね。

んー、インフラは自分一人でどうこうできるモノじゃないのでそこは諦めるしかないかと思います。消極的な納得です。(´・ω・`)

そして最後の「割高」についてです。

今回、調べてみると Google One のプランで「プレミアム 2TB/1,300円/月」というものがあることを知りました。ローカルストレージがテラバイト級です。ようやく求めている容量の単位とお財布事情がシンクロしてきた!

0これってそんなに高くないんじゃないかな?

シミュレーション

費用面でのコストがどのくらいかかるのか、簡単な試算をしてみたいと思います。

条件

  • 容量は 2TB ストレージ。
  • 物理的に手元設置するケースとの比較を踏まえ、運用期間は4年間。
  • 年間コストを算出して比較する。
  • サービス料金や電気代、消費税などは運用期間中、変わらないものとする。
  • 必要時にインターネット経由でアクセスできる必要がある。
  • 費用以外のメリット、デメリットは別途考慮する。

Google One プレミアム(2TB)プランの場合

プレミアムプランの年払いの場合だと、年額13,000円(税別)です。

13,000 (円/年) × 1.1 (税) = 14,300 円/年

これだけ払っておけば、バックアップも障害対応もスマホアクセスも全部丸投げできます。

ローカルストレージを運用する場合

メイン PC に内蔵するケース、外付け HDD を増設するケース、NAS を新設するケースなど、いろいろな形態がありますが、メイン PC が絡むと設備費・運用費の切り分けが難しくなるため、NAS を新設するケースで考えたいと思います。自宅のネットワークインフラ費用については切り分けができないため、考慮しません。

障害時対応のため RAID1 対応の NAS で倍の 4TB を探すと、バッファローの製品が見つかりました。記事執筆時点で 25,382 円です。4年間で減価償却するので、年あたりのコストは 6,346 円です。

次に電気代。公式の製品情報では 48W という表記がありました。意外と食うなー。常時 48W ってことはないだろう。50%として計算すると、年間の電気代は 5,672円 (210kWh×27円/kWh)。

この時点で、合計 12,021円/年です。Google One プレミアムプランとの差額は2,279円/年

電力対策(UPS)や夏場の熱対策などは考慮していません。物理的な置き場所やら配線、発注、処分、設定・メンテナンスに割かれる時間もあります。モノを運用するとなると、インフラや人件費が結構大きいんですよね。

僕の人件費がたったの2,000円と考えた時でも、年間1時間しかメンテ時間が割けない計算になります。それ以上時間をかけてしまったら割高。

20代の頃はそれも勉強や経験だと嬉々として採算度外視でやってましたが、ここのところは「やろうと思って時間を割いたら出来るだろうし、やったところで得るものは大体分かっているので、それなら別の事に時間を割きたい」と考えるようになりました。世の中がどんどんクラウドの方面に進んでいて、仕事でも何でもそっち方面を使っているので、今更 NAS 運用してもなぁ…。

2021-10-12 追記: BBIQ サポートデスクに問い合わせ

このブログ記事を書いた後、自宅で13年間契約し続けているプロバイダ BBIQ に問い合わせをしてみました。本格的に光ケーブルの向こう側に大規模データを置いておくとなると、やはりボトルネックになってくるのが通信量制限。

やりとりで確認したこと

確認してみると、やはり現在でも一般家庭の契約ではアップロード(送信)での30GB/日制限が有効なようです。見つけた公式記事が10年前のもので古く、対象プランも100メガコースだったので念の為確認しました。(我が家はホームタイプギガコース)

また、サポートデスクには代替手段としてオフィスプランがあることも案内していただきました。こっちは通信制限がなく固定 IP アドレスが貰えるもののギガコースで月額11,330円。現在の契約で5,000円ちょっとなのでこれは痛い…。脱サラ起業でもして経費にできるならまだマシだけど、携帯電話の回線使用料とも合わせたら通信費ってガスや水道よりも大きく家計を占める固定費になってますね。なお、切り替え工事はギガコース to ギガコースなのでほとんどなく、かかるコストもないとのことでした。

現状の通信量がどのくらいかるかについては、インターネットサービス BBIQ を展開している QTnet の会員ページで確認できるようです。契約回線ごとに前日までの受信(下り)・送信(上り)の通信量を一覧表示できます。

ここで直近の通信量を表示してみると、次のとおりになりました。

日付上り通信量下り通信量通信量合計
2021/10/017.46GB14.17GB21.62GB
2021/10/028.85GB115.42GB124.26GB
2021/10/0311.89GB76.00GB87.89GB
2021/10/0413.08GB17.96GB31.03GB
2021/10/0513.92GB13.71GB27.63GB
2021/10/069.13GB12.47GB21.60GB
2021/10/075.45GB11.78GB17.23GB
2021/10/081.67GB19.69GB21.35GB
2021/10/090.03GB0.05GB0.09GB
2021/10/100.46GB9.34GB9.79GB
2021/10/111.63GB6.29GB7.91GB
2021/10/121.15GB10.51GB11.65GB
2021/10/130.61GB13.59GB14.20GB
2021/10/140.65GB5.57GB6.21GB
2021/10/151.24GB5.89GB7.12GB
2021/10/163.08GB19.06GB22.13GB
2021/10/176.92GB15.10GB22.01GB

グラフにしてみると下記のとおり。

赤い色の下り通信量(受信・ダウンロード)は、動画サービスを夫婦で垂れ流しつつ作業してると簡単に跳ね上がるようです。10月2日は115GBって何ダウンロードしたっけ…ていうレベル。上り通信量も仕事の内容や個人的な作業でも上がる模様。

今月に入っての上り通信量の最大は約14GB。制限閾値の半分に満たないとはいえ、どこにもクラウドストレージ課金されていない状況でこの数値はちょっと怖い。ガリガリ活用するとなると30GB超えも容易に想像できます。

また、上記のデータはあくまでも「前日までの実績通信量」なので、「今日はあとどのくらいで制限にひっかかるか?」は分からないようです。光回線の ONU ないし直結してるルーター側から情報がひっぱれるかもしれません。

サポートデスクに「直近24時間で30GBなのか?それとも日毎での通信量か?」という質問について、技術部門に確認をとってもらいました。回答は「基本的に後者で日毎ではあるが、状況による」とのことです。「今日の23時台に20GBのデータを送信して、明日の0時台に20GBのデータを送信すると閾値を超える恐れがあるか?」と質問すると「はい」とのこと。

また、閾値に至った場合にいきなり制限される訳ではなく、アラートメールが2回飛んでくるそうです。それを無視して使い続けた場合通信帯域を制限されるのこと。どのレベルまで制限されるかについては確認し忘れていました。前の文書でも「一定の水準に制限する帯域制御を実施」としか記述がないので、具体的な制限値は公表してないかもしれません。スマホと違って契約数は限られてますし、スマホよりも閾値が緩い、スマホよりも料金体系がシンプル…という理由もあるし、公表は企業側にメリットはありませんしね。

問い合わせの結果は、やはり「フルスペッククラウドストレージ活用」にはちょっと心残りがある結果となりました。

2021-10-18 追記: Google One 有料プランを契約

Google フォトに日々撮った写真や動画をアップロードしていると目につく、ここ最近ずっと表示されている容量アラート。現状の私の使用具合は次のとおりです。

今後も GMail、Google フォトは利用し続けていきますし、その他の大容量ファイルストレージ利用という目的を除いてもカツカツなのは困ります。

ということで、迷いつつも Google One の 200GB プランを年払い契約しました。年払い3,800円(税別)ですので、月額348.33円(税込)という計算に。数クリックで購入は完了し、1分かからず使える容量が 200GB になりました。

安心して写真や動画をアップロードしたので、すでに無料枠の15GBを超えてますね。この有料プラン容量は最大5人までとシェアできるらしいので1契約を家族で使うといった使い方もできるようです。嫁ちゃんを誘おうかな。

あと、無料枠の頃に Google One のプラン表示には出ていなかった 5TB 以上の上位プランも表示されるようになりました。

BBIQ の10年前から変わってない(時代にそぐわないなぁ…)通信制限があるため、フルスペックのクラウドストレージ活用はもうちょっと先になると思いますが、現時点でのそれぞれのコストをまとめておきます。

プラン月額換算料金
(円・税込)
1GBあたりの料金
(円)
200GB34820.9
2TB11920.596
5TB29790.5958
10TB71500.715
20TB143000.715
30TB214500.715
1TB=1000GB として換算

大口契約の方が割安と思ったけど、意外と 2〜5TB 契約が 1GB 単価が安いようですねー。

佐世保のシステムエンジニアです。詳しいプロフィールやこのブログについてはこちらをご覧ください。

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