mumbleとはBSDライセンスで提供されているVoIPクライアント・サーバアプリケーションです。VoIPクライアントとしては、米マイクロソフト社が昨年買収した『Skype』、韓国NHN社の日本法人NHN Japanが提供している『LINE』などが国内では有名ですが、mumbleはこれらサービスとは違ったアプローチのもと提供されています。
オンラインゲーム、特にリアルタイム性が求められるFPS(銃を打ち合って戦争するゲーム)使用中に利用することを想定としている為、重点を置いているところが違います。
- 常駐させても負荷が少なく、軽い。
- 音質をそこそこ維持しつつ、遅延が少なくするように設計されている。
- 連絡を取り合うことに特化されていて、余計な機能がない。
- 帯域や通信速度自体が制限されたナローバンドでも使える(らしい)。
VoIPクライアントの本質は「IPネットワーク網を利用した音声通信」ですので、正直なところ、他の機能は要りません。また、上記に挙げたVoIPクライアントとしてのメリットの他に
- オープンソースであり、特定企業の商売戦略上の都合に巻き込まれなくてすむ。
- サーバさえも自分で用意することができ、その気になれば何十年でも同じ環境が使える。
- クライアントはLinux、Windows、Androidなどで使用でき、サーバはLinux、Windowsで実行できる。
これらはmumbleに限らずオープンソースプロジェクト全体に言える話ですが、こういう通信手段このその利点が大きいんじゃないかなって思います。IRCもそうですが、コミュニケーションツールはライフラインの一つにも挙げられる時代ですから、自前で面倒が見られるようにしておきたいものです。また、自分だけで利用するシステムではないので、Linuxはもちろん、Windowsやスマートフォンから利用ができる点も大きなメリットです。
サーバのインストール
dpkg系のパッケージ管理システムを採用しているディストリビューションでは、例のごとく、APTにてインストールすることができます。私のDebian環境では、通常のリポジトリ内で見つけることができました。
[bash]$ sudo aptitude search mumble
p mumble – Low latency VoIP client
p mumble-11x – Low latency VoIP client (1.1.x)
p mumble-dbg – Low latency VoIP client (debugging symbols)
p mumble-django – A Mumble-Server web interface
p mumble-server – Low latency VoIP server
p mumble-server-web – Web scripts for mumble-server
p python-django-mumble – A Mumble-Server config application for Django
[/bash]
サーバにはクライアントをインストールする必要はないので、「mumble-server」だけをインストールします。
[bash]
$ sudo aptitude install mumble-server
[/bash]
何もエラーが発生しなかったら、mumbleサーバのインストールは正常に終わったということです。
サーバの実行
インストール時に自動実行されないので、手動で実行します。
[bash]$ sudo /etc/init.d/mumble-server start
$ sudo lsof -i TCP | grep murmurd[/bash]
2行目を実行してみて、murmurd(mumble-server)が出てきたら動いてます。
さて、早速クライアントから接続してみます。クライアントの設定はLinux/Windows/Androidとそれぞれちょっとずつ違うので、ここでは触れません。
mumble-serverの標準リスンポートは64738ですので、それを参考に設定してみてください。
[bash]
$ sudo tail -f /var/log/mumble-server/mumble-server.log
[/bash]