個人売買サイトを眺めていたら、近所でホンダ・スーパーカブ50スタンダードの中古車が売りに出されているのを見つけました。一応エンジンが動いて、走る・停まるが出来る状態。鍵あり書類あり、という情報だけで、良い具合にヤレた写真が数枚のみ。
大儲けするほどの激安価格!…という訳ではありませんが、カブ弄りの勉強にも良い教材になりそうだったことから購入を決意。早速取引をしました。
車両保管場所はお店(バイク店ではない)のようで、自宅から徒歩数分のところです。実際に所有者に会ってみると、以前近所にあった居酒屋で呑んだことのある方と一緒に働いている方でした。世間は狭いな〜。
お話を聞くと、ゆくゆくはバイク店として事業化したいということで、お店にはたくさんのバイクがありました。今はまだ趣味とのことですが、「店の奥でゼファーを全バラし中」とのこと。
カブにまで手が回らないという理由での売却だったようです。近所だったので、リモートワーク中の昼休みに受け渡しと名義変更を済ませて持ち帰りました。
現状確認
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ホンダ・スーパーカブ50 スタンダードです。水色カブや弟のリトルカブと同じ AA01型です。これは幸い、手持ちパーツや工具と互換性があります。
純正グリーンという車体色は、水色カブが元オーナーによって水色に塗られてしまう前の色。ブルーよりグリーンが好きですね。ちょいレトロな感じも渋い。
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そのままでも騙し騙し乗れるかなー、と期待していたんですが、状態は思った以上に悪く、エンジンの動作が不安定です。
昼休み中の短い時間でざっと見たところ、以下の部分がダメそうでした。赤色の吹き出しは前オーナー談です。
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欠品や経年劣化は見て分かるとおりです。
エンジンの状態は、キックでエンジンスタートすると一発でかかるものの、アクセルスロットルを開いておかないと、一瞬にして回転数が落ちていき、すんっとエンストしてしまいます。
アイドリング回転数を上げてもダメ、パイロットエアスクリューを調整してもエンストします。
走行中は異音や白煙もなく、もたつきながらでも一応は走ってくれるんですが、信号待ちなど、回転数が高い状態から低い状態になると、すんっと停止します。
ガソリンは前オーナー曰く「車両を入手したのが半年ほど前だが、入手してからガソリンの交換や給油は1回もしたことがない。」とのことでした。少なくとも半年は入りっぱなしのようです。とっくの昔に変質してそうです。
エアクリーナーエレメントもずっと交換してなさそうです。燃調以前の状態を一つずつ良くいこうと思います。
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AA01 型は、1999年の新排ガス規制に対応するために「ブローバイガス還元装置」を搭載して誕生したモデルです。
1999年から2002年モデルまでが、BA-AA01。2007年モデルからは JBH-AA01 になるんですが、後者はキャブから FI に変更されていますので、BA の方ですね。
車台番号は AA01-10*****。以前ホンダに調べていただいた水色カブ (車台番号: AA01-13*****) が2002年モデル・2002年6月製造とのことだったので、それよりも古い型のようです。
ガソリンタンク横とサイドカバーのロゴが C50 時代のものと同じタイプですので、AA01型としてはもっとも古い1999年モデルのようです。
劣化具合は20年モノ相応。走行距離3万2,000kmは妥当と見るかどうか…よく分かりません。小排気量の乗り物は車検もないし、小さい分使われ方や保管方法によって、状態は大きく変わっていくので、小さければ小さいほど走行距離は意味を成さなくなる印象です。
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シリンダー付近にはブローバイガスの分離器が見えますね。水色カブは入手当時から移動されていて、さらにボアアップしてビッグキャブに変更しているので、純正状態でまじまじと見るのはこれが初めて。
全体的に砂埃と錆に覆われています。オイル漏れはしていないようです。レッグシールドがないので、いきなり弄れますね〜。今は昼休みなので、時間が取れるようになったら分解してみましょう。
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見た目上、ハンドル回りと同じくらい目立つのがリアフェンダーからシート下にかけての錆です。個人的には渋くてアリなんですが、嫁ちゃんには理解してもらえなかったです(笑)。
強度的には問題がなさそうですが、ボルトが固着してないといいけどなー。
昼休み中にできることと言えば、とりあえず変質ガソリンを抜いておくことでしょうか。
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手動ポンプをガソリンタンクにつっこんでシュコシュコ抜いていきました。右の洗面器が出てきたガソリンです。洗面器の底には最初から土埃が付着していたんで、黒くなって見えていますが、不純物(タンク内錆)は混じっていなさそうです。
色はピンク色というより、濃いおしっこのような黄色。完全に変質している色ですね。
夜に確認
仕事が終わった後、水色カブの新しいガソリンを購入したカブに移しました。
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しかし、ガソリンタンクの天板まで錆がヒドいですね(笑)。汚れてしまって見づらいですが、ガソリンメーターのフロートは生きているようです。
コックもひっかかりはあるものの、開閉ができました。ガソリン漏れもなさそうです。
新しいガソリンを入れて燃調を変えてみても、エンスト症状に変化はありません。やはりキャブの中身・メインジェットが詰まったり、吸気関係が悪そうですね。
次に電装を見てみます。
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ヘッドライトのハイビームとテールランプのナンバー灯が球切れしている以外、特に問題はなさそうです。ウィンカーを点滅させる際に、カッチッ、カッチッ…と音を出す音圧スピーカー「オーディブルパイロット」の音が極端に小さく、エンジンをかけると音が一切聞こえなくなりますが、メンテナンス優先度は低くてOK。
ウィンカーリレー、レギュレータ・レクチファイアも問題なさそうです。
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明るい昼間には気付かなかったんですが、メーターのバックパネル部分の塗装が劣化しているのか、バックライトで照らされた全面が透けてしまっています。
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マフラーは純正でとても静か。異音もなく、ペダル類も正常です。
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ドライブチェーンカバーを取り外してみると、スプロケットもチェーンも錆まみれでした。後輪を手で勢いをつけて回してみてもすぐに止まってしまう…。要交換ですね。