ダム湖、海水浴場、灯台、展望所と島北部の名所を巡りましたが、ことごとく天候に恵まれず、宿に一旦戻ってきました。
宿に戻ったのは午後2時すぎ。風雨の中の運転で思った以上に疲れたので、エアコンがひんやりと効いたふかふかのベッドでゴロゴロしていました。
いつの間にか眠っていたようで、起きたら午後5時を廻っていました。お昼よりも風が少なくなっていて、空を見るとところどころ青空が出ていました。日没まではあと2時間弱。夕飯の事もあるのでこれから出掛けたいと思います。
お昼に北部を廻ったので、今度は西之表市街から中種子方面を周回するルートです。
熊野海水浴場
種子島上陸初日にも訪ずれた熊野海水浴場に行ってみました。「熊野」は「くまの」ではなく「よきの」と読むらしいです。難しい…。
蒲田海水浴場と同じく波が高く、海に入る人は誰もいませんでした。初日にたくさんのサーファーがいた浜も見えなくなるくらい、大波に埋められています。
轟々と唸り声を挙げる波は同じですが、昼間よりも雲が少なくて明るくなっていました。海のエメラルドグリーンも少しだけ戻ってきたようです。吹きつける海風も心なしか気持ち良い。
泳ぐ人こそいないものの、海辺の道には犬の散歩をしたり、観光客らしき人が車を停めて眺めていたり…と、台風が通りすぎたことを思わせる人々の姿がありました。
今日は綺麗な夕陽が見れそうです。日没まで1時間ほどありますが、スマホで元気ロケッツの曲でも流しながら、ぼーっと海を眺めてシャッターチャンスを待つことにしました。
そして撮れた写真がこれです。
粘った甲斐もあって、今回のツーリング一番のベストショットになりました!写真は下手くそだけど、これは気に入りました。
南国の夕陽とバイクとシュロと海。うーん…満足。昼の悪天候はきっとこの夕陽のための伏線だったんだと思いました。
夕陽が VRX のタンクに映り込んでいます。めちゃくちゃ綺麗だー(小並感)。
さて、良い写真が撮れて満足したので、中種子町に夕飯を食べに行こうと思います。
中種子
熊野海水浴場を後にして、島の西側の海岸線を南下し、中種子町の中心地に着くころには空がとってもエモいことになっていました。
さとうきび畑の間を通る道に VRX を停めて、カメラを向けました。人工的な明かりが少ない、こんな空の下にいるのがとても不思議な気分です。いつか嫁ちゃんを連れて来たいなぁ…。
そんな感傷に浸っていると、腹の虫がグゥと鳴りました。
今夜は事前のリサーチでレビューも良かった、中心地にある「富士食堂」で夕飯を食べようと思います。どうやら地元の方に人気の食堂のようです。
19時すぎ、駐車場に到着すると店には暖簾がかかっておらず、どうやら営業してないみたい。建物の中に人の気配はするけど、そういえば今日はお盆の最終日です。
ふと振りかえると、夕闇の道を懐中電灯を照らして歩く親子連れの姿が目に入りました。僕は種子島のお盆の風習を知りませんが、その姿がなんとなく、ご先祖様をお墓に送っていく様子に見えました。
なるほど合点。となると、今夜はお盆も関係なく営業していそうなコンビニ飯になるかな…とナビを確認しつつ、もう少し南下してみることにしました。
VRX で走ること10秒ほど、数十メートル南側に「焼きカレー」の文字を見つけました。VRX を停めて道端からお店を覗き込むと、窓越しに目があったお店の人がニコッとして会釈をしました。
良かった営業してる!思ったよりも早く夕飯にありつけそうです。
軽食屋 華柳 (はなやなぎ)
お邪魔したのは軽食屋はなやなぎ。脇に VRX を停め直し、店に入ると中にはお客さんがたくさんいました。常連さんかお店の人と親しい身内の方のようです。お盆休み中、地元に戻ってきた仲間が集り宴会、といった雰囲気です。
僕は入り口から入って1歩の、小さなカウンター席に誘導されました。ガタイが良い僕の体を気遣ってか「狭いところですが」と申し訳なさそうに言われましたが、お盆にご飯を食べさせてくれるだけでもありがたい。
僕と同年代くらいのご夫婦が切り盛りされているようで、おかみさんはおんぶ帯で赤ちゃんを抱いて対応していました。狭いけど賑やかなお店で、一人でウロウロしてきた旅の中でもほっこりする空間です。
軽食屋ということですが、メニューも豊富でしっかり食べられる料理が多く、お値段も良心的です。鹿児島県産ロースカツのカツ焼カレーを注文しました。
器からはみ出るくらいボリュームたっぷりのサクサクトンカツ。溢れんばかりのカレーとチーズ。食欲大喜びのビジュアルです。
実際に頬張ると、焼きカレーなのでまあ熱いわけですが(笑)。それでもスプーンが止まらなくなるほど美味しく、ハフハフ言いながら完食です。味もボリュームも大満足の一品でした。
カレーを食べ終わり、ふと気付くと3才くらいの子が僕のまわりをウロウロしていました。結局最後まで男の子か女の子か分からなかったけど、お店の子かな。とても人なつっこくて可愛いお子さんでした。
その子をあやしながら、おかみさんにノンアルコールビールを注文すると、味付け玉子と金平牛蒡をサービスで出していただきました。
帰りもバイクなので酔う訳にはいかないけど、とても良い気分になってきました。金平の味付けがビール(ノンアルコール)にちょうどいい塩梅。
僕が VRX に乗っている姿を見ていたおかみさんから、「どちらから来たんですか」と問われ、「佐世保から一人バイク旅で」と答えると、おかみさんも「以前、佐世保に住んでいたことがある」との事で、びっくりしました。話の内容から、どうも出身は別のようですが、一時期佐世保に住んでいて、最終的に種子島に住んでいるのだと。
佐世保と言えば、対外的に知名度があるのは「ハウステンボス」であったり「佐世保バーガー」であったり、そういうキーワードが主なんですが、おかみさんの口から出たキーワードは、なんと「天津包子館」。佐世保市民ならみんな知ってる老舗のローカル中華料理店です。これには笑いました。ガチの佐世保勢だ(笑)。
美味しいカレーや金平でお腹もいっぱいになり満足したので、宿に帰りました。
清流峡
中種子町から民宿清流峡までの最短距離を走って帰りました。写真を撮り忘れましたが、道中、種子島空港の滑走路下をくぐるトンネルなどがあるコースです。
宿に到着して VRX をよく見てみると、マフラーにびっしり塩がついていました。熊野海水浴場の荒波の近くで、1時間以上停車して写真を撮っていたので、細かく飛ばされた波の粒が当たり、マフラーで良い具合の焼き塩になっていたみたいです。
明日の昼の便に本土行きのフェリー乗船できれば、夜には自宅に帰れそうです。帰ったら綺麗に洗車してあげないとな〜。
VRX を停めたすぐそばに黙ってたたずんでいたカエルに「おやすみ」を言って、宿泊している部屋に戻りました。4泊5日でお世話になったこの宿とも明日でお別れ。荷造りをして寝ようと思います。
続きます。
[…] 続きます。 […]